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そう簡単に前を向くことは出来ないけれど
それでもいつかは前を向いて歩かなくてはならない、それが残された者やるべきこと。
蹲っていたって何も変わらない、ただただ時間は流れるだけだとAはわかっている。
A(先輩たちはもういない、言われなくたってわかってるよそんなこと)
Aもまたひとつ覚悟を決めた
完全に立ち直ってはいないけれどそれでも、少しでもいいからみんなのことを支えたい
その思いが今やっと、少しだけAの背中を前に押した。
A「髪…切ろう」
ペン立てから引っ張り出したハサミを手に片手で髪の毛を引っ張る
長く伸びた、女の子らしい髪の毛
褒められて嬉しかった
そして結び方を教えてくれた人とはもう同じ時間を過ごすことは滅多にない
A(これでいい、全部前を向くために)
A(そうでもしないとスッキリしない)
ハサミの冷たい温度が夏の気温で上昇したAの体温をほんの少しだけ下げる
チョキン、チョキンと静かで日差しの入らない部屋に響き渡り
髪の毛が落ちていく音が耳に届く
A(頑張ろう、私もまだまだやることがある)
A(マネージャーでもやれることは沢山ある私の仕事は選手を支えること、私がこんなんじゃ誰も支えられやしない)
気持ちを新たに
ほんの少しだけ立ち上がり
カーテンを開けて窓を開ければ入ってくる、夏の風
その風が短くなったAの髪を揺らす
「練習明日からだっていうのに先輩たちの気合いすごくね?」
「もうレギュラー争いが始まってるってことか」
そして日が暮れ夕食の時間、主に2年生の部員たちの気合いがすごく1年生は圧倒されていた
もう既に次のレギュラー争いが始まろうとしているだけあって、本当にすごい気合いの入りよう。
金丸「何言ってんだよお前らその中には俺たちだって入ってんだぞ」
レギュラーになるチャンスは誰にでもある、それは一軍入りが果たせなかった1年生も同じ。
「いやそうだけどさ夏休みの練習かなりきついって聞いてるし…」
金丸(1年はコイツら3人だけじゃねぇ…!!)
ちょっとやや後ろに下がり気味な他の1年生とは違い、金丸は結構な気合が入っている
1年生は栄純、春市、降谷の3人だけではない自分だって1年生の1人だと。
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作者名:ちあき | 作成日時:2020年5月22日 21時