【◇】群青エース . 16 (ページ32)

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だが前園の本音は

前園「俺も試合に出たかった、たとえ負けた試合でも選手としてグラウンドに立っていたかった」

たとえ負けた試合でも”選手として”グラウンドに立っていたかった

ずっとこの思いを前園やスタンドで見ていた者たちは秘めていたのかもしれない

新チームが始動すれば大きくチームが変わる、それは試合に出るメンバーも同じ。

前園「これからが俺らの時代、そう思ったらワクワクしてる自分もおるんや」

前園「1年でベンチ入りしてるお前にスタンドにおったやつの気持ちはわからんやろうけどな」

少しずつ、少しずつ

新チーム始動へと動き始める青道

そして変わっていくのは選手だけではなく

東条「雛瀬、大丈夫かな」

金丸「部屋からものすごい音がしたな」

あと試合を見届けていた、支える側の人間も悔しさで頭がいっぱいだった

Aの部屋からここ数日間ずっと、何かものが倒れたりする音が聞こえついに心配した同学年の東条や金丸が部屋の前に来ていた

東条「雛瀬、大丈夫？なんか…すごい物音したけど」

東条が部屋のドアの前でそう聞けば大きく響いていた音が静まり、しばらくしてAの声が

A「ごめん、うるさくして」

A「しばらく部屋から…出たくない」

いつもの元気がないどこか掠れたような声で謝り、更には部屋から出たくないと言い始めた

家の事情が明らかになった時も泣いてはいたものの、ここまで酷いことではなかったのに。

金丸「飯どうすんだよ、お前昨日も食堂に顔出さなかったじゃねぇか」

A「いらない、何も食べたくない、今は誰にも会いたくないから」

東条「そっか…落ち着いたら顔出せばいいよ、何かあったら声かけて」

A「ごめん、金丸に秀明」

今会ったら、もっともっと気持ちが溢れ出そうで怖かった

昨日のあのバスの時からずっと泣き続け夜は部屋にこもり、夜通し泣き続けやり場の無い気持ちを物にぶつけては

食事もしたいと思える状態じゃない

東条「相当落ち込んでたね、雛瀬」

金丸「選手じゃないにしろあいつの性格からして今先輩たちに会ったらあれだから部屋から出ようと思わねぇんだろうよ」

選手ではない自分がこうしてていいのか、泣いていいのか、それすらも分からず

Aはまた1人部屋で泣き始めた