【◇】群青エース . 16 (ページ29)

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倉持「テメェ！！俺が戻ってきてもそんな顔してたらぶん殴るからな！！」

これにちょっとだけムッと来た倉持は

いつものように声をかけるとやや乱暴に部屋を出ていった

倉持「クソッ、なんて声かけりゃいいんだよ」

倉持「こっちだってまだ引きずってんのに」

倉持だって立ち直ってるわけじゃない、むしろまだ引き摺ってるのに気にかけてああやって声をかけていたが

栄純はあんな様子だからもうどうすればいいのか分からなくない。

倉持(もう先輩達はいねぇんだ、こんなんで新チーム引っ張っていけんのかよ)

試合に負けて帰ってきた昨日の夜

優勝祝賀会用に用意されていた食事に手をつけることなく3年生たちは泣き続けた

そしてそれは翌朝も同じで誰かと顔を合わせれば自然と涙が溢れて…

同じ涙でも3年生と1年2年では気持ちが違う、重さが違う。

先輩達の前で同じようには泣いてはいけない

それだけが栄純達下級生にできることだった。

もう新チーム始動へと動き出している頃

食堂には予選決勝を見ている御幸の姿。

御幸(最終回の沢村、表情も様子も明らかに違うじゃねぇか)

御幸(なんでマウンドに行って間をとらなかったんだ)

見直して初めて気がついた最終回のマウンドでの栄純の異変。

Aが言っていたように、やはり明らかに異変があったのだ。

御幸(勝ちを焦ってたっていうのかよ)

そう悔しそうに歯を食いしばる御幸のいる食堂のドアが開き、誰かが入ってきた。

倉持「昨日の今日でもう試合振り返ってんのかよ」

先程部屋を出ていった倉持だ

何も返さない御幸を見ては倉持がまた話を続ける。

倉持「立派な心がけだとは思うけどよ、今はいいじゃねぇか、主力の先輩たちが引退してもう…」

その続く言葉を遮るように

御幸「力が足りなかったんだよ」

御幸がようやく口を開いた

力が足りなかったんだ、と。

御幸「自分を含め、チーム全体のな」

御幸「あれだけ頼もしい先輩たちがいたチームでも届かなかったんだ」

不動の4番と言われた人はもういない

エースもいない

今まさに、チーム全体の力がない

全員が力の足りない未熟な状態。