【◇】群青エース . 16 (ページ27)

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原田(もし、俺が逆の立場だったら)

原田(おめでとうなんて言えたか？)

きっと言えなかった。

頂点取ってこい、そう言われたら

やるべき事はただ1つ

原田「西東京代表としてみっともねぇ試合は出来ねぇ、これからが夏の本番だ」

原田(アイツらの分まで暴れてこねぇとな)

代表として恥じぬ戦いをし、そして勝利を掴むこと

それが勝ち残った稲実が果たすべき使命。

「ナイスゲーム！！」

「よくやった！！」

「哲さーん！！」

「ほんと惜しかった！！！」

悔しさに涙し続ける青道の選手たち

それを出迎えてくれた最後まで応援し続けてくれた同じ学校の生徒やOBの方々

哲「期待に応えられなくてすみませんでした」

哲「応援ありがとうございました！！」

選手たちを代表し

1歩前に出た哲が感謝の気持ちを述べて頭を下げ、その場にいた全員が頭を下げた。

期待に応えられなかった、その言葉が重く辛い現実を突きつけるばかり

謝るな、また応援しに行くから、立派だった

そんな言葉ばかりがずっとずっと降り注ぐ。

栄純(な、なんで…？)

栄純(あとアウト1つだったのに…)

絶対的エースの不在、それが青道と稲実の力の差となっていた今回の試合

バスに乗り込んだ部員たちだが誰もなにも喋らずただただ、沈んでいる。

栄純もその1人だ。

栄純(勝ってたのは…こっちだったのに…これで終わり…？)

手から抜け落ちた帽子を拾おうと身を屈めた時

隣にいたAが静かに鼻をすすりながら涙を拭っていることに気がついた。

本当に、耳を澄ましていないと聞こえないくらい小さな声でしゃくりあげながら泣いている。

A「………たかった……だよ」

さっきまで泣いていなかったAにも

もう限界が来たようで、その視線の先には……

栄純「！」

静かに1人涙を流す、主将の姿があった。

チーム全員の期待を背負いどんなときもチームを引っ張り

グラウンドを去るその時まで最後までチームを支え、強くあり続けた主将の涙。

Aはそれを見て我慢していた涙がとめどなく、溢れてしまっていたのだ。

Aの発していた言葉は

栄純だけにしっかりと聞こえていた。

”勝ちたかった、ずっと一緒に戦いたかった、応援したかった”

”終わりなんて…嫌だよ”