【◇】群青エース . 12 (ページ10)

今日:8 hit、昨日:6 hit、合計:63,650 hit

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A(勝った、勝った、勝ったんだ)

勝ち進む度に勝利への喜びが強くなる。

そして、勝ててよかったという安心感。

A(雷市くん、多分だけど…プレッシャーを感じてた)

A(自分の投手との勝負よりも、チームのために打とうとした、だからそれが重くのしかかってきたんだ)

周りが勝負に喜ぶ中
これがストンと、頭に落ちてきた。

投手との勝負を楽しむために打ってきた彼が初めて仲間のためにチームのために打とうとした初めての瞬間。

打席に突っ立ったままの雷市は唇を強く噛んで、涙を流し続ける。

ずっとひとりでバットを振り続けた雷市。

この夏が彼にとって初めてだったのだ。

自分以外の誰かがいることが。

審判「整列！」

試合は8対5で青道の勝ち。

次に進めるのはもちろん青道のみ。

両者を讃える拍手がずっとずっと止まることなく響き続ける。

「今年こそ甲子園行こうぜー！」

「青道最強！！」

「ナイスピッチ丹波！！」

「伊佐敷ー！」

「結城くーん！！」

試合が終わり

エナメルバッグを肩にかけ

会場からでてきた青道メンバー。

青道を応援してくれる人達からの声援に包まれている。

そんな中

春市「どうしたの？栄純くん」

栄純「えっ…あ、いや…」

栄純はずっと
自分の手のひらを見ていた。

あの後整列し、挨拶を済ませたあと

何を思ったのか栄純は

未だ泣き続ける雷市とそばにいた三島と秋葉の元へ。

栄純「轟ーーー！！！」

栄純「次は負けねぇからな！！」

春市「ちょっ…栄純くん！」

そしてそんなことを言っては俯く雷市に手を差し出した。

”負けねぇからな”

結果的には青道が勝ち進めたが

投手と打者としては栄純が負けている。

そういう意味で栄純は次は負けねぇと雷市に言い出したのだろう。

三島「勝ったのはテメェらだろうが！！嫌味かコラァ！！」

でもその意図は伝わらず。

普通は三島のように受け取るだろう。

後ろからわたわたと駆け寄った春市は急いで連れ戻そうと雷市から栄純を引き離した。

春市「ご、ごめん！この人バカだから…」

でもそんなのお構い無しに

栄純は三島に詰め寄り

栄純「絶対勝つ！！」

春市「わぁあ！？」

また勝つ発言をし始めた。