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栄純「あのー…A…さん?起きてください朝っすよ…?」
さすがに体を揺すぶるのはまずい気がして
栄純は優しくつんつんつついて起こそうと試みた。
突然泣きだしたらとか色々考えてしまい、声が栄純にしては超小さい。
「んぐぅ………」
小さく漏れたAらしき小さな女の子の声。
少しだけ目を擦るとゆっくりと体を起こした。
「あしゃ……」
欠伸をして、目を擦って
やっと目を開けたAらしき女の子。
その子が目を開けた瞬間、栄純はあることを理解した。
「あれぇ…?えいちゃん、おはよー」
栄純「お、おはよ…う?」
これは完全に小さい頃のAだと。
目を開けた瞬間唐突に理解したし、昔の記憶と完全一致。
幼い頃から面識のある栄純はちゃんとこの小さな女の子がAなんだと認識出来た。
でもやっぱり状況理解が追いつかないことには変わりない。
A「えいちゃん、おっきくなってる…?」
栄純「いや…Aが小さくなったというか俺もよくわかんねぇ…」
呼び方も小さい頃のまんまだ。
小さい頃Aは栄純のことをえいちゃんと呼んでいた。
虫取りをする時もえいちゃん、一緒にお風呂に入る時もえいちゃん、何をするにもえいちゃん。
野球をする前までは内気だったAは活発な栄純の後ろについてきてはえいちゃん、えいちゃんと言っていた。
A「えいちゃん、ねぐせちゃんとなおさないとダメってえいちゃんママが言ってたじゃん」
栄純「あ、ハイ」
でも比較的しっかりしてて、栄純の世話をよく焼くのは昔から変わらないようで
相変わらず寝癖がついたままの栄純に近づいては髪の毛をぺたぺた触り始めた。
栄純(いやいやいやいや、ちょっと待て!!!!おかしいだろコレ!!どう見ても!!)
おー、ちっちゃくなったんだすげぇこんなことあんだなーははは!なんて思考にはならない。
本当になにがどうなってこうなった。
A「えいちゃん、ここどこ?」
栄純「どこって…野球部の寮でAの部屋?」
A「Aのへや?」
ここが長野の実家ならまだしも、男だらけのむさ苦しい野球部の寮なのが問題点。
恐らく記憶も当時のままのAからすれば恐怖でしかないだろう。
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作者名:ちあき | 作成日時:2020年4月20日 20時