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点差はたったの1点。
守り抜くか、ひっくり返すか。
大事な場面。
A(3塁ランナーがホームに帰れば同点、ワイルドピッチだってなんだって)
A(たった1球で試合が動くんだ)
どんな球を投げても試合の流れは動く。
いい方向にも、悪い方向にも。
そういう場面だ。
栄純「追い込んでますよ丹波さん!!」
春市「次で決めましょう!!」
真田をここまで追い込んだ。
次は確実に決めるつもりで投げる。
そして投げた一球。
カーブした球は御幸の構えたミットからズレた位置に。
A(まずい、後ろに逸れる)
後ろに逸れた。
誰もがそう思ったはずだ。
A(いや、でも…一也だから)
A(後ろに完璧に逸らすかどうか…)
3塁ランナーが走り出そうとした瞬間
御幸は右手でボールを止めては
ランナーである三島を睨みつけた。
A(やっぱり止めた、てっきり逸れるかと思ったけど)
A(そう簡単には逸らすことないもんね)
このプレーにランナーの三島も会場で見ていた人達も驚いた。
逸れると思ったら止めてしまったからだ。
これがなかったら点が入っていたと言ってもいい。
前園「よう止めた!ナイスストップや!!」
金丸「御幸先輩……!」
A「ほんと、何するかわかんないし意地でも何とかするから対戦するととことん嫌な捕手してる」
みんな御幸のファインプレーに感激しているが素直じゃないAは素直にすごいと言えるはずがなく。
昔のことを勝手に思い出しては拗ねた。
今でも負けたことを根に持っているくらいにはAにとって御幸は嫌な捕手だった。
今ではちゃんとすごいと思っているし、自分もああなりたかったのだと自覚してる。
A「まぁ、でも……」
A「やっぱすごい、悔しいけど…かっこいい」
Aがぽつりと呟いた言葉は
誰にも聞こえていない。
自分がかつてそうだったからか
それともその座についているのが御幸だからか
試合で真っ先に、1番に集中してみているのが捕手のあの場所。
いつだって思ってる。
雷蔵(体じゃ間に合わねぇと見て咄嗟に右腕を差し出しやがった)
雷蔵(根性入ってんぜ、あのキャッチャー)
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作者名:ちあき | 作成日時:2020年4月20日 20時