【◇】群 青 エ ー ス . 9

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まず部屋に入ることには成功した。

問題は次だ。






御幸「2段ベッド、多分下で寝てるよな」







ベッドは上下どっちで寝てるのか問題。

見た感じ下で寝てるだろうなとは思うのだけれど実際どうかは当然知らない。

別に思いというわけではないのだが、まじで起きられたら危険なので早く帰りたい。

だから迷ってる場合じゃないのだ。









御幸(人運んだ経験なんてないし…そのままポイッと寝かせていいんだよな？)









こればかりは慣れなんてない。

むしろこんなのに慣れてたまるか。

女子を運ぶなんて経験にない。

多分この先もよっぽどの事がない限りはない。








そっとベッドに寝かせようと

膝をベッドにつけた時

ギシッと音が鳴った。








A「ん……」


御幸(やべっ…起きるか！？)








しかも寝かせた瞬間だ。

タイミングがあまりにも悪すぎる。

起きるか起きないか、ハラハラする。

頭の中は帰るよりも先に言い訳を考えてるくらい。









御幸(起きなかった…セーフ)








結果セーフ。

起きることなくAは普通に寝た。

爆睡してればベッドが軋む音は耳に入らないのかも。








御幸(…………なんか俺、ガッカリしてる？)








起きなくて安心してるはずなのに

心の底から安心してる感じがしない。

逆になんか…ガッカリしてるような。








御幸(いや、起きなくていいんだって)

御幸(調子狂うし)







好きだから、そんなこと言っといて

今更恥ずかしさが襲ってきた。

いつ好きになったのかもはっきりしない、曖昧な感情。








御幸「あ……」







どうしたらいいのか

自分の気持ちが自分でも分からず

とにかくAから目を逸らした時

目に入ったある物。








御幸「あれって…」








枕元にちょこんと置かれた

2つのぬいぐるみ。

御幸はそのうちの1つに見覚えがある。








御幸「鳴とゲーセン行った時にやったやつ」








あの時

散々小遣いを使って取ったクマのぬいぐるみだ。

今は…Aの手作りのユニフォームを着てる。

雛瀬の手先が器用すぎると部内で話題だったのはこれを見ての事だったのかと納得。









御幸(へー、なかなか凝ってんな…このぬいぐるみの服)







前までは

青いリボンを首に巻いただけだったぬいぐるみが

自分と同じそっくりのユニフォームを着てるのがなんとなく、不思議に感じた。

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