【◇】群 青 エ ー ス . 9

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”キス、していい？”







そんなこと聞かれたら

相手が普段冗談を言い合ってるやつでも

ドキッと来るものは来る。

それなのに、それなのに








御幸「………やっぱやめた」


A「え」








急に現実に戻った。

いや…さっきのやりとりも現実なことに変わりはないのだけれど。








御幸「今のは全部いつもの冗談、本気でキスしようと思ってねぇよ」


御幸「多分」







そういえばいっつもそうだった。

何かとらしくないことし出すと思えば

急にぱっとやっぱり今のは冗談とか言ってくる。








御幸「お前もいつもみたいに言えばよかったの……」

御幸「に…って、え？」








御幸が自分より下の

Aに目を向けてみれば

俯いて何も言ってこなかった。

いつもなら殴る勢いで文句言ってくるのに。

ちょっと悪いことしたかと思って顔を覗き込んでみれば









A「こっち見ないで」









ふいっと顔を逸らされた。

目も合わせることなく。








御幸「顔、珍しく真っ赤だないつも冗談やめろとか言ってくるのに」


A「う、うるさいうるさい」







必死に手で顔を隠してるけれど

手が小さいからか

隠しきれていないのが御幸からすればどうしようもなくかわいい。








御幸「してほしかったのかよ」


A「そんなわけないじゃない」


御幸「その顔で言われてもなー、説得力ねぇよな」









してほしかったとかしてほしくなかったとかそんなのはどうでもよくて

本当に…されると思ってたし

何故か拒む気にもなれなかった。

それは相手が御幸だからなのか。









御幸「さ、そろそろ戻んないとなんか言われる早く行くぞ」









まだ焦るAに手を差し出せば

ちょっと間を開けて手を掴んだ。









A「一也のバーカ、バカ、バカ」


御幸「だから真っ赤になった顔で言われてもなんとも思わないって」


A「好きな女の子にやればいいのに」









そう言われて

どこか別の場所を見ているAの目を見れば

やっぱり、綺麗な顔をしていて

見とれてしまいそうになるくらい愛おしい。

本当に好きだからやってるのに

やっとの事で自分を止めた御幸の気持ちをAは全然知らない。









御幸「かわいすぎるな」


A「誰が？」


御幸「誰がって、俺の好きな人」

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