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どこか心配したような声で
御幸が上からそんなことを呟いてきた。
自分に言ってるような気もする。
御幸「まぁ、怪我なくてよかったよ」
どこかの学校の応援の声が
いつもはすごく大きく感じるのに
この時だけは聞こえないような気がした。
抱きしめられてるようにしか見えないのに、不思議なことに突き返そうとする気にはならない。
A「ちょっと…びっくりしたかも」
御幸「気をつけろって言ったのに、Aが話真面目に聞かねぇから」
A「ごめんなさい」
同い歳の友達みたいな感覚になりがちだけれど
こういう所で歳上の先輩って感じを見せつけられる。
そして相変わらずAは御幸にとっては危なっかしい、目の離せない存在だと。
A「一也、もういいよ大丈夫だから離して、ありがとう」
御幸「………なぁ」
A「ん?」
背中のあたりに回された腕が
腰に回され
ぎゅっとさらに距離が近くなった。
御幸「もう少しこのままでいちゃ駄目か?」
A「え…?」
御幸「それか…」
不思議だけど
周りの人は誰も見ていない。
ゆっくりと近づいてくる御幸の整った顔。
鼻と鼻の先と
唇と唇がくっつきそうな距離。
御幸「キス、していい?」
A「へ……?」
本当にあと少しでも動けば
触れてしまいそうな距離。
好きとかそんなんじゃないのに
Aの心臓はバクバクと大きな音を立てて
暑さとか関係なく顔に熱が集中する。
いつもならバカ!とかなんとか返すのに、言葉が出てこない。
A「か、一也…?」
色っぽい目に
片方だけで優しく頬に触れる手。
全てがドキドキする原因。
御幸「俺、本気だって言ったし危機感持てってあれほど言ったし」
本当にされてしまうのかと
Aは困惑し
いつもの調子でいられなかった。
あーあ、こんなことになるならもっとちゃんとしとけばよかったと後悔する気持ちも強い。
A「一也…」
御幸「………やっぱやめた」
A「え」
Aがやっとの事で
名前を呼べば何故かいきなりぱっと距離を離された。
御幸「今のは全部いつもの冗談、本気でキスしようと思ってねぇよ」
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ちあき(プロフ) - 颯咲さん» コメントありがとうございます!返信遅くなりました…面白いと言っていただけてなによりです!!応援ありがとうございます!! (2020年4月11日 21時) (レス) id: ea1ceb8449 (このIDを非表示/違反報告)
颯咲(プロフ) - めちゃくちゃこの作品好きです!!赤星になってないのがおかしいなって思います。個人的に笑 更新楽しみにしているので応援しています! (2020年4月10日 14時) (レス) id: 2fc3727b68 (このIDを非表示/違反報告)
ちあき(プロフ) - 未來さん» コメントありがとうございます!Twitterの方フォローさせて頂きました! (2020年4月9日 19時) (レス) id: ea1ceb8449 (このIDを非表示/違反報告)
未來(プロフ) - コメント失礼します。いつも楽しく拝見させていただいてます!今更なのですが、Twitterフォローさせて頂きました。未來という名前でやっております。これからも更新楽しみにしてます!! (2020年4月9日 18時) (レス) id: 7ebd59770b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちあき | 作成日時:2020年3月11日 19時