【◇】群 青 エ ー ス . 9

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御幸「沢村だったらずっと世話焼きっぱなしだけど…そういう意味なしに女房にならねぇ？」



A「バカみたい」







不意にすっと近づいてくる顔。

耳の横まで近づけば

周りに聞こえないくらいの小さな声で

とんでもないことを言い出した。








御幸「俺だったら、気が済むまで面倒見て絶対幸せにしてやるよ」



A「〜〜っ！！」








冗談が冗談に聞こえない

真面目なトーン。

でも顔はニコニコと悪戯っぽい笑顔。

いつもそんなことを言われては

振り回されるのがオチ。









御幸「なーんてな！結構今の本気に聞こえたよな、俺もびっくりした」


A「冗談でも言っていいことと悪いことってあるでしょ！！」


御幸「あれ、顔真っ赤じゃん」


A「うるさい地面に埋めるよ！！」









ついさっきまでわちゃわちゃしてた

倉持と栄純も

またやってる…って顔。

この2人のやり取りもすっかり野球部のお馴染みの光景。









御幸「でも……案外沢村の言う通りお前が女房ってのもいいかもな」


A「はいはいまたいつもの冗談ね」



御幸「本気で思ってんの？」



A「………じゃあ何？」









素直に言いたいこといえばいいのに

この2人はいつもこれ。

栄純とAも距離感がバグっているけれど

御幸とAもほぼ同じ。








A「そういうの抜きにしたって、私が面倒見るのは鳴でいいよ」


御幸「は？お前鳴なら女房なるの？」


A「まぁ、鳴あんなだけど1番気遣いできるいい子だからね」


御幸「…………鳴に言っとこ」


A「あ、ちょっと今のなし！！」







Aにはいつも冗談だと軽く流されているけれど

御幸は割と本気だ。

だけど結局自ら冗談に変えて笑ってるからなかなか通じず。







倉持「アイツら…仮に本当に夫婦になってもああなんだろうな、ったくどいつもこいつもいちゃつきやがってよ」


栄純「俺、それだけはなんか嫌っす」


倉持「あ？御幸とAか？」


栄純「なんか知んないっすけど…それだけは絶対に嫌だって…」









仲がいいのはいい事だし

楽しそうで何より。

でも、当たり前が当たり前じゃなくなっている。

いつも隣にいた人が、違う人の隣にいる。

それが少し、モヤっとする。









倉持「何だよ、妬いてんのかお前」

栄純「なにも焼いてないっすよ」

倉持「そっちじゃねぇよアホ」

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