【◇】群 青 エ ー ス . 9

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A「私、一也のこと嫌いって言ってない」








たまーにうざい…と思うことはあるけれど

Aは御幸のことを嫌ってはいない。

最初こそ敵意むき出しだったけれど。








A「本当に嫌いなら、嫌なら一緒にいないし話したいとも思わない」








今更素直になれないから

言わないだけで

御幸と話すのは楽しいと感じているし

練習だと1番に、かつての自分と同じ場所にいる御幸を見てしまうことだってある。









A「……………結構、一也のことは好きだよ」









ぽつりと呟いた言葉。

周りで他の部員が騒いでいるのに

その言葉はなぜか御幸の耳にバッチリ届いてしまっまた。









御幸「………へぇ、それってそういう？」


A「そういう？」


御幸「期待していい？」


A「何言ってるのかさっぱり…」


御幸「だよなー、そう来ると思った」









Aの好きだよはきっと友達として、先輩として

そんなことなんだろう。

そんなことは御幸だってわかってはいる。

それでも今の言葉は─









「Aー！！急げよー！！早く！！」


A「はーい、今行く栄純！！」









今の言葉は、そうだと分かっていても

期待してしまう一言だった。







A「一也、行かないの？」


御幸「先に行ってろ」


A「わかった」









今正直こんな気持ちで練習なんかしたくない。

どう頑張っても口元が緩む。

でもAはそんなことなくいつも通り。








倉持「おい御幸、何やってんだよ」



御幸「倉持、俺にタイキックして」


倉持「えっ……お前…そういう趣味に目覚めたのかよ…」


御幸「違ぇよ」









朝はまだ涼しいのに

今はどうしようもないくらい暑い。

暑い暑い夏みたいに、頬が熱い。








御幸「お前さ、好きな人に好きだよって言われたらどうなる？」



倉持「照れる」



御幸「今俺それ、だから蹴って練習集中できない」



倉持「今それって……お前の好きなやつって」








もうとにかく

そういうこと言われてしまったら

意味が違うとわかっていてもドキッときてしまう。









倉持「雛瀬？」


御幸「俺さっき好きって言われた、そういう意味じゃないけど」


倉持「…………通りでニヤけてると…」


御幸「俺が哲さんか鳴だったらなぁ」

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