【◇】群青エース . 8 (ページ49)

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御幸「あ、俺が取っちゃったみたい」

鳴「あーーーーー！！！！！」

鳴と交代した瞬間

御幸が見事取り出し口までぬいぐるみを運んでそのまま落とした。

この結果に鳴が叫んでその場にしゃがみこむ事態に。

よっぽど悔しいのかプルプル震えてるし。

鳴「一也さぁ…ほんとそういう所だと思うんだよね、いいとこばっか持って行って！！」

御幸「いやー、それほどでも」

鳴「褒めてねぇよ！！」

どうしても取りたかった鳴は

頬をふくらませてブツブツ文句言って不貞腐れモードに突入。

御幸はそれを見て面白そうに笑っては取り出し口からクマのぬいぐるみを取り出した。

男子が持つにはあまりにもかわいすぎる、クマのぬいぐるみ。

鳴「俺の方が多くお金出したのに！」

御幸「それはお前が謎に自信もって俺が取るとかなんとか言うから」

鳴「なーんか試合で負けたような気分なんだけど」

御幸「そんなにかよ」

元はと言えば御幸と鳴は当然ながら違うシニアの選手。

特にライバル意識が高く負けず嫌いな鳴はいくらゲーセンのUFOキャッチャーでも御幸にいいとこを取られたのが悔しい。

御幸「おにーさん、これ持ち帰るから袋ください」

さすがにこのまま手に持って

Aの待ってる出入口までいくのはいくらなんでも恥ずかしかったので

そこら辺にいたスタッフのお兄さんに声をかけ袋に入れてもらった。

御幸「結構俺も小遣い減ったけど…最近使い道に困ってたしそこそこちょうどいい額になった」

鳴「俺も！」

御幸「明らかにそっちは減りすぎ」

鳴「大体小遣いあったって野球しまくってるから遊びに行く暇あんまねぇし、こうやって使える時に使うのが1番だよ」

御幸「まぁ言われてみればそうかもな」

野球道具を買うにしても

そこまですぐ消耗する物でもないし

物持ちがよければ長くは使える。

野球漬けの日々をこの頃から送ってる2人からすれば小遣いはどんどん溜まっていくわけだ。

鳴「それに、今回の金の使い道悪いことじゃないしね」

御幸「こんなぬいぐるみに2人合わせていくら使った？」

鳴「さぁ？俺なんか1000円近く使った気がするんだけど」

御幸「最高じゃん」

ケラケラと笑って

ちょっと足早に出入口に向かう。

そこで御幸は珍しく(？)優しいことを思いついてしまった。