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Aは今の自分の状況がどんなかすぐにわかった。
少女漫画でありがちな壁ドンだ。
しかも相手はあの御幸。
思いもよらぬ相手からのソレに意識せずとも自然と心臓がバクバクと音を鳴らす。
A「ね、ねぇってば」
最後に目に映って見えたのは
余裕のなさそうな、でもいつもの意地悪そうな顔をした御幸だった。
なんで最後かって?
それは─。
A「手、どかしてよ見えない」
手で視界が隠されたからだ。
脱出しようにもそれが上手く出来ない状況。
とにかく距離が近すぎる。
脱出不可能。
すぐ動けばもう顔と顔がぶつかりそう。
御幸「お前さぁ、自覚ある?」
A「なんの」
御幸「警戒心なさすぎ、これ相手が俺じゃなかったらどうする」
”俺だって何するかわかんねーよ?”
そんなこと言われたって
全然恐怖を感じなかった。
御幸が言いたいのは遠回しにだけれど他の人の前でそんな顔するな、警戒しろということ。
でもA本人には伝わらなかった様子。
A「一也は変なことしないでしょ、それにこんなことされても怖くもなんともない」
御幸はもうその場から崩れ落ちそうだった。
いやそういうことじゃねぇっつーの、と大声で言うか頬をぎゅむっと抓りたくなるくらい。
御幸「じゃあ…鳴と同じことを俺がしてもなんとも思わねぇのかよ」
聞いておいてあれだけれど
かなり恥ずかしい。
A「それは……違う、恥ずかしい…かもしれない」
自然と人がどこかへ行ってしまった
暑い暑い球場の隅。
冷たいコンクリートに背中を預けても顔の熱は引いていかない。
御幸「じゃあされても文句言えねぇから」
前髪がふわりと少し動いた。
でも、あの時の感触じゃない。
あの時─、鳴にキスされたときの唇が触れたような感触じゃない。
ぎゅっと目を瞑ってしまったあと
再び覚悟して目を開けたら
そこにはいつもの飄々とした態度の御幸がいた。
御幸「なんてな、期待した?」
A「へ?」
御幸「前髪にゴミついてんぞ、ほんと女子力皆無な」
前髪がふわりと動いたのは…
御幸が手で触ったから。
御幸「あれ、キス欲しかった?」
A「〜っ!」
ドキドキしたのがバカだった
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藍こ(プロフ) - 御幸さん推しなので御幸さんとのイチャイチャ嬉しいです…ありがとうございます (2020年3月2日 12時) (レス) id: b64ba8aeaf (このIDを非表示/違反報告)
ちあき(プロフ) - チヒロさん» ありがとうございます!鳴とどうなるかは作者もわかりませんが今後楽しみにしてて欲しいです…!! (2020年2月25日 21時) (レス) id: ea1ceb8449 (このIDを非表示/違反報告)
チヒロ(プロフ) - 連載始まった頃からずっと読んでました!とても良い作品で毎回続きがとても気になっています!変化球で鳴くん落ち少し期待しちゃってます!これからも頑張ってください!!! (2020年2月24日 14時) (レス) id: 6247b36cfd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちあき | 作成日時:2020年2月22日 10時