【◇】群 青 エ ー ス . 6

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試合を翌日に控えた日の練習。









栄純「おーっし！行くぞ！A！」


A「いいよ」









野球部の用具庫にあった誰のか分からないミットを手に栄純の球を受けるAの姿が。



実は先日、栄純にどうしても！と頼まれたらしく









─無理にとは言わないんだけど…1回だけでもいいから練習に付き合って欲しい！！




─え…私？クリス先輩じゃなくて？




─1回受けてもらいたいって思ったんだよ、なんでかは分からないけど









やるのは構わない。


むしろ、やってみたいって気持ちの方が大きい。


試合とかじゃないからプレッシャーも何もないからもしかしたら…出来るかもしれないと思い









─うん、いいよ。


─あー、だよな、ダメだよな…ってえぇ！？まじか！！


─ただ、キャッチャーマスクとかないからちゃんと構えるミットにしっかり的を絞って、ぶつけないことが絶対条件ね



─まかせろ！！









”絶対条件”付きで了承した。


Aが捕手として身につけてるものは


左手にあるミットのみ。


当たったら多分最悪骨がアレになるだろうな。


と思ったけど恐怖とかはない。









Aが構えると栄純は小さく頷き

そして勢いよくボールを投げた。









久しぶりに見る

目の前に投手の投げる球が来る光景─。








A(この感覚…久しぶりだ…)









栄純の投げた球はしっかりと


当たることなくAの構えるミットの中へ。


しかもあの頃と衰えることなくAはちゃんと捕れたし、よろつきもしなかった。









栄純「どうっすか！！俺の進化したストレート！！」









Aが難なくキャッチした栄純のストレート。

栄純は満足気に目をきらきらさせながらクリスとAを交互に見るが

クリスは真顔、Aは苦笑い。









表情からして2人の言いたいことは何となくわかる。









A「えーっと…」


クリス「ボールが高い、何度も言わせるな」









優しすぎるのか躊躇ったAの代わりに

クリスが容赦なく言い放った。

確かにまだボールは高い。









A「じゃ、あとはまたネット相手に頑張れ！」









元々栄純はネットに向けて投げていたのを


Aにお願いして受けてもらったのだ。


本来の相手はネット。Aじゃない。

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