【◇】群 青 エ ー ス . 5

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A「もう見なかったことにしよう、そしてこれは倉持先輩の趣味だと思うことにしよう、そうしよう。」







Aはそれ系の本を閉じ

元あった場所に置いた。

突撃訪問だったから隠す時間もなかったし

何より朝なので寝ぼけてそこんとこが甘くなってたのだろう。









A「栄純起きて、朝だよ」









ベットで寝てる栄純の肩をとんとん、と叩くも起きる気がしない。








A「栄純、起きてってば」






次に背中をつんつんするが

ちょっとピクっと動いたくらいで起きる気配がない。

なんだこいつ。








A「ほら、今日開会式だよ起きて」







ついに最終手段。

ベットの上に乗っかって体を思いっきり揺さぶる。

一軍登録された選手なんだからしゃっきりして欲しいものだ。









A「もう……なんで起きないかな」







中学時代もこうして起こしたことが何度かある。


でももしかしたら…色々昨日は寝れなかったのかもしれない。


出番があるかもしれない、と監督に言われ


練習量もさらに増えて、プレッシャーもそれなりにあるかもしれないし。









A「………栄ちゃん、起きて」









小さい声で


小さい頃に呼んでいた呼び方で


耳元で言ってみた。


これで起きなかったらチョップだ、と思いながら。









栄純「ん……」







お、起きるか？

もしかして栄ちゃん呼び効果あり？









栄純「あと……もうちょい……」









1度ムクっと起きたと思えば


寝ぼけてそのままAの膝に頭が。


なんか嫌な予感する。









A「ひゃ……！？」









昨日の今日でこれだ。

寝ぼけてるとはいえ本当に本当にやってくれる。









A「馬鹿！！起きて栄純！！」









もうここまで来たらわざとじゃないかとさえ思えてきた。

さすがに恥ずかしいものは恥ずかしい。









A「栄純」









何でだろう。

ちょっといつも以上に心臓の音が大きく聞こえる。

助けてくださいと切実に思ったが誰も来ない。

自然と手が勝手に栄純の頭に行く。









A「………栄ちゃん、かっこいいとこ、期待してるからね」









小さな声で言ったから

聞こえてるかどうか分からない。

ただ、言いたかっただけ。

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