【◇】群 青 エ ー ス . 5

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野球をやめてからさらに経った。


久しぶりに一也に会って


やっぱ本音をぶつけてくる一也は


未だ迷う私に突き刺さる言葉を投げかけた。









御幸「お前…何でやめるんだよ、それで後悔しないのか？」









後悔しないわけがない


まだ君に勝ってない。


でも君は高校生になる。


そういった意味でももう無理で。









A「何でって…」









泣きそうだったのに


やっぱり泣けなくて


むしろ、理不尽な怒りや嫉妬を


目の前にいる捕手である一也にぶつけてしまいそうで怖かった。

自分はこんなにも悩んでるのに、出来なくて悔しいって思ってるのにって。









A「できないから…」









できない。


球もろくに捕れないなんて捕手失格だ。


鳴の球より球威もなくて、普通の球なのに鳴の時より捕れないなんて笑われるじゃない。


バットに球を当てることも出来ない。


でも周りは常に完璧を求めてくる。









A「できないから…やめるだけ」









誰がこんな辞め方したいと思ってしてるの？



悔しくないわけがないよ



できることならまだ野球をしていたい。


でももう…









A(私が1番私のことをわかってるんだ、悔しくないわけがない)









私は


鳴のように自分に自信を持てない


一也のように度胸もなければ心も強くない


でも、この2人を見ていつか自分もって思ってた時期があった。









御幸「結局」





A「…………」








この後に言われた言葉が忘れられなくて


馬鹿な私は引きずって


後に青道に入学した時


いや、引きずってというよりは拗ねて…？


一也を睨みつけたりかわいくない生意気な態度を取ったわけだ。


それが好きとかいう一也はどうかしてる。









御幸「その程度かよ、がっかりした」









うん。


別に反論しようとも思わなかった。


いつだって一也の言ってることは正しかったから。


その程度なんだよ。


だからその言葉はすんなりと受け止められた。









今になって一也はこの言葉を言ったことを謝ってくれたけど私は怒ってなどいなかった。



むしろその程度でやめてしまう自分の方に



ずっとずっと怒っていた。

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