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「誰か引き取ってくれる人はいないのか?やっぱりどこの誰との子供か知らない子を引き取るのは…」
母親が死んでから
一夜が明けた。
私はもう泣いていなかった。
泣けなかった、外の声が煩くて。
「生まれてきたことがこんなに気の毒に感じることはないな」
普通の父親もいなければ
普通の祖父と祖母もいない
普通の幸せな生活もやっと手に入れたのになくなった。
普通の大好きな母親もいない。
─Aの笑った顔、母さんは好きだからなぁ母さんが痛くても頑張るのはAがいるからだよ
大好きな笑顔も、もうない。
笑えない。
いつか笑えるかもしれないけどそれは
この人達について行ったら絶対にないと思うんだ。
A(どうして母さんまで連れてかれるの?なんで私はいつも…)
選択肢は与えられない。
選べないんだこの先ずーっと。
そう思ってしまってさらに沈んでいった。
「雛瀬、お前は新チームを引っ張ってかなくちゃいけないんだぞ?わかっているのか」
A「はい…」
母親の葬儀が終わって引き取られるまで
シニアにも顔を出して練習してたけど
全然何も出来なくて
バットも握れなければ、ボールもまともに投げられず暴投を繰り返すばかり。
「残念だが…お前が本調子に戻るまで正捕手には─」
頑張って頑張って
いつか野球をやらせてくれた
自由に笑えるように育ててくれた母に試合を見て貰えるように必死でとった
正捕手の背番号2番は剥奪された。
A(もうなにしたって面白くない、楽しくない、できない)
A(点を取れない、ボールを捕れない、必要とされてない)
監督はチームのため、と言って
肝心の選手の私自身のことは気にかけてくれなかった。
気にかけて欲しかったのかな、あの時。
”雛瀬は落ちぶれたな…成宮との最後の試合が終わってからずっとこれだ、使い物にならない”
”雛瀬自信にはあんまり…選手としての価値がないのかもしれないとさえ思えてきた”
そんなことを話してるのだって聞こえた。
失望した。
監督に?自分に?
それはわからない。
大人が怖かった。
野球が嫌になった。
だから出来ない、
だから怖い。
やめたい、と初めて感じた。
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ちあき(プロフ) - ダイヤ様さん» 個人的に1年トリオが好きなので絡ませてます!これからもガンガン更新していきますね! (2020年2月18日 0時) (レス) id: ea1ceb8449 (このIDを非表示/違反報告)
ダイヤ様 - ちあきさん» 243の話、かなり笑いました!!沢村の優しさと気遣いがいい…!1年トリオの反応も可愛い。更新を楽しみにしてます!! (2020年2月17日 23時) (レス) id: f3c6ebb892 (このIDを非表示/違反報告)
ちあき(プロフ) - すずさん» ありがとうございます!!嬉しいです…! (2020年2月16日 12時) (レス) id: ea1ceb8449 (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - 鳴くんの優しさにキュンキュンしました。素敵な作品ありがとうございます。これからも更新楽しみにしてます! (2020年2月16日 9時) (レス) id: ea774d1f7c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちあき | 作成日時:2020年2月13日 0時