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伊佐敷「雛瀬」
亮介「大丈夫?」
繋いでいた言葉が途切れた。
まだ言葉にしていないのにA自信だけが知ってることを思い出しているのか…。
おかしいと思った伊佐敷と亮介が声をかけた。
春市「気分…悪い?」
A「ごめんなさい、なんか…自分から聞いて欲しくて話したのに結局こんなで」
立ち直れたと思ったのに
立ち直れていなかったのだろうか。
いや…どうだろう。
亮介「いいよ、無理しないで。」
伊佐敷「結果的には…イップス乗り越えてまたお前は野球を続けた、それだけでも立派なもんじゃねぇか」
A「ありがとう…ございます、そう言われると楽になります」
イップスというものはどんな怪我よりも恐ろしいこと。
治るかどうか分からない、大半は治らないことが多い精神的な不治の病。
乗り越えられる人は限られている。
御幸「A」
A「!」
無意識にぎゅっと握りしめていた
背番号を唯一縫い付けていない栄純のユニフォーム。
じっと見ていたAを引き戻したのはかつてを知る存在。
御幸「話してくれてありがとな」
A「え……?」
御幸「それと、あの時勝手な事言ってすまなかったと思ってる。お前が嫌がるのも当然なことをした」
初めて明かされてから気がついた
あの時の自分の発言の酷さ。
あの時のAにとって御幸の言葉はきっと思っている以上に刺さったのかもしれない。
─結局その程度かよ、がっかりした
─そんなの…私が1番嫌なくらいわかってるよ
A「ううん、気にしてない」
自分でも悔しかったのだ。
”その程度”で中途半端な状態で離れてしまうことが。
そして憧れて、追いつきたいと思っていた相手に最後まで敵わなかったこと。
A「とにかくほんと…自分でもびっくりするくらいスッキリしてるんです、今」
A「私と違ってこの野球部のみんなは絶対にそういう状況に負けない」
モヤモヤしてた気持ちが
誰かに話すだけで
こんなにスッキリするものなのかと自分でも驚く。
ずっと…この思いを吐き出したかったのかもしれない。
そしてずっと、ずっと─。
逃げてた自分と別れたかったんだ。
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ちあき(プロフ) - ダイヤ様さん» 個人的に1年トリオが好きなので絡ませてます!これからもガンガン更新していきますね! (2020年2月18日 0時) (レス) id: ea1ceb8449 (このIDを非表示/違反報告)
ダイヤ様 - ちあきさん» 243の話、かなり笑いました!!沢村の優しさと気遣いがいい…!1年トリオの反応も可愛い。更新を楽しみにしてます!! (2020年2月17日 23時) (レス) id: f3c6ebb892 (このIDを非表示/違反報告)
ちあき(プロフ) - すずさん» ありがとうございます!!嬉しいです…! (2020年2月16日 12時) (レス) id: ea1ceb8449 (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - 鳴くんの優しさにキュンキュンしました。素敵な作品ありがとうございます。これからも更新楽しみにしてます! (2020年2月16日 9時) (レス) id: ea774d1f7c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちあき | 作成日時:2020年2月13日 0時