【◇】群 青 エ ー ス . 5

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いつもなら完璧に出来た動作が


どこかぎこちなく感じる感覚。


鳴の球はなんとか運良く捕れてる、と言われても何も反論できない。









A「鳴、次はインコースを攻めるよ」



鳴「わかった」








鳴はあの時確かに


最後って口にした。


私が鳴と組めるのはこの夏が最後。

来年からは…これからは違う誰かと組んでいくんだ。









A「鳴」



鳴「どうしたの？」



A「……やっぱ、なんでもない」



鳴「いい球投げるからバッチリ捕ってよ、もし万が一点が入っても」









まさか鳴に励まされるというか


いっつも我儘ばっか言ってくる鳴が


我儘以外のことをタイム中に言ってくるなんて。









鳴「俺が絶対に取り返すからさ」









この頃から鳴の気迫はとんでもなかった。



勝ちにこだわり、己のピッチングを貫く執着心。


これからもっと鳴はすごい投手になるんだろうと思うと嬉しい反面、寂しくなる。









鳴「打てなくても、打たれても、やることは変わらないからね」




A「ありがとう、鳴」




鳴「ほらほら！試合は終わりじゃないよ！戻って戻って！」









辛かったりする時は


いつだって誰かが助けてくれた。


あの日は敵チームの一也が


今日この日は…最高の相棒が助けてくれた。









プレーで私がリードしたとするなら

気持ちではいつも鳴にリードされてた。









だから私だって


それについていかなきゃ


それに答えなきゃ─。









鳴「行こうよ、最後までかかってくるやつは全てねじ伏せるつもりで」









真夏の太陽みたいな

眩しい笑顔。

いつだって信じてきた。









A「不思議だよね」




鳴「何が？」




A「さっきまで怖いって思ってたけど、鳴とならなんだって出来る気しかしない」









この時はまだ


完全に”不調”というわけじゃなかった。


まだ引っ張ったら立ち上がれる状況だった。


せめて、せめて、









A(鳴と一緒に出来る最後の試合までは)









そこまでは頑張りたいんだ。


だからお願い


もっともっと強くなって。


勝たなきゃいけない


最後まで一緒に立ちたいから。









鳴「さ、行きますか！」


A「うん」








そして…見せたい人がいるんだ

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