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栄純たちを見る降谷の目は
Aからしてみれば
どこか羨ましそうな、そんな目をしてるように見えた。
でも表情に出さないし、言葉にもしないから結局なにも分からない。
御幸「まぁ不思議と周りに人が集まるようなやつだからな、あいつは。」
盛り上がってるあちら側とは違って
静かな空気が流れてるこっち側の空気を裂くように御幸が降谷にまた話しかけた。
御幸「いつでもマイペースなお前とはまるで正反対だ」
御幸に容赦なく言われた降谷は
少し動揺した気がする。
気がする、だ。
たしかに降谷は何かとマイペースな面が目立つ気がする。
それが栄純との違い。
御幸「でも…まぁ、お前はそれでいいんじゃねーの?力でチームを引っ張る、そういうピッチャーでよ」
降谷「…!!」
栄純が気持ちでチームのみんなを巻き込んで引っ張ってく人間なら
降谷は圧倒的な力で、プレーでチームを引っ張っていく人間だろう。
御幸「ぶっちゃけ、色んなピッチャーいた方が俺もリードしがいがあるしなぁ!!」
降谷「え……!?」
いいこと言ったと思ったら
また容赦なく本音を言う御幸。
これには降谷も思わず動揺した。
御幸「そう思わない?ツンデレセカンドちゃん」
A「金属バッドで後頭部殴りますよ?腹黒メガネ捕手さん」
黙って話を聞いてれば
すぐそうやって人に話を振る。
そのニヤニヤした相手の気持ちを見透かすような顔。
もしかしてこの人にはどんな嘘をついても通用しなかったり…?
御幸「ははっ、沢村も沢村だけどAちゃんもAちゃんだな!ほんとおもしれー!!」
人がそこそこその気になって怒ってるのに
すぐ笑う。
A「なんなんですか本当に」
御幸「無理無理、Aちゃんの背じゃ俺の頭を叩けないよ」
A「亮介先輩とほぼ同じ身長なんですけどそんなこと言っていいんですか」
御幸「げ……」
でも、でも
嫌いじゃない、かもしれない。
なんだかんだ言ってこんなやり取りを心のどこかでは楽しんでる自分がいる。
A「亮介先輩にチクろう」
御幸「それはマジで勘弁、あの人のチョップは頭割れる」
うん、結構楽しいかもしれない。
苦手なことに変わりはないけど。
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作者名:ちあき | 作成日時:2020年1月22日 0時