雪降り積もる空の下 ２ ページ11
❄ ❄ ❄
「あら桜、此処に居たのね」
右斜め後ろから優しい声音が聞こえた。自分の事を呼び捨てにするのはこの家では限られているため、相手が誰なのかすぐ分かる。彼女はすっと声のした方に顔を向けた。
「……お母様……」
「こんな処に居てはまた風邪を引いてしまうわ。しかもそんな薄着で……」
桜は母親の言葉にくすりと笑う。着ているのは冬物の厚手の和服だが、上着は着ていない。確かにこれでは風邪を引いてしまう。
実は今年の４月頃に風邪を引いてしまい、桜は病人、紅汰は看病人として学校を休んだことがあった。あの時ちょうどいいタイミングで、紅汰達が朝の支度の手伝いをしに来てくれたお陰でそんなに重症にならなかったが、それ以来２人は桜の体調を気配るようになった。すぐに母親に断りを入れ、自室に行って上着の羽織を着てもとの場所に戻る。
「上着着てきました……」
「それなら大丈夫そうね。折角の年の瀬、そして三が日なのだから、体調は万全にしないと」
「そうですね……新年は元気に過ごしたいです」
「そうね。どうせなら、姫納めしてもいいのよ？」
「なッ!? お、お母様……!? 何てこと言うのですか……!!」
母親から爆弾発言が下される。姫納め……その言葉の意味を知らないほど、彼女は子どもではない。耳まで赤くなっている桜を見て、母親は口元を袖で隠しながらクスクスと笑った。
「〜〜〜〜っ」
「あらあら。そんなに恥ずかしがらなくてもいいのに……。私は別にいいのよ？ 貴女達が仲睦まじい様を見ると、私達も嬉しいもの。――――……それに、早く子どもの顔が見たいですし」
「それは、そうですが……。確かに私も子どもは欲しいですが、でも、それは、やはり授かり物ですし……」
「それはそうね。なら、貴女達３人で川の字になって今日はどうかしら？」
「川の字……３人並んで寝るということですか……。それはいいですね。でも、場所はどうするのですか？」
普段は桜達は個人の部屋で夜を過ごしている。桜の誕生日と６月のとある日以外は、別の部屋で寝ているのだ。
「ああ、それなら今日は客間で寝たらどう？ 彼処なら３人並んでも大丈夫でしょ」
「客間……あ、いいですね。ではその旨を２人に伝えておきます」
「そうね。そろそろ
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