【オリジナル】白き夜、星屑の空。 (ページ10)

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雪降り積もる空の下　１ページ10

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　12月31日、世間一般では大晦日と言うこの日。
　今年は例年より寒波が強いと予想される、と１ヶ月ほど前の天気予報でテレビの人が言っていた。その結果、見事にその予想は当たっている。
　朝霧家の所有する山全体には、父親である榴が張った特殊な結界のお陰で、下界より温度が緩まっていた。つまり、夏なら暑くすぎず冬なら寒すぎず、まさに快適に日々を過ごすことが出来る。
　しかも今年の初雪は11月下旬で、12月の中旬に入ってからはほぼ毎日雪が続いていた。朝霧の屋敷は山の中腹にあるため、雪がよく降ることよく降ること。
　毎年雪が降ると、使用人の子ども達は雪だるまやかまくらを作ったりして遊んでいる。子どもと言っても見た目の話で、実年齢は100を疾うに過ぎている子達だ。それでも朝霧家の妖怪の中では最年少の域にいる。
　ここ数日も連日雪が降り、雪だるまや雪兎を幾つも作ったが、まだ庭の積もった雪は余っているらしい。一体どれだけ降るのだと言いたいが、これも自然の摂理、この自然のお陰でこの国は四季を身近に感じられるのだ。春は梅に桜、夏は緑生い茂る木々、秋は紅く色づく紅葉、そして冬は辺り一面雪景色。
　そういえばいつの日か誰かが言っていたな、と桜は庭がよく見える縁側に座って景色を見ながら考えに走る。その人物曰く、四季はヒトや植物の一生に例えられると言うらしい。春は誕生、夏は成長、秋は老いや枯れ、冬は死だと。確かにその通りだなと、その時話を聞いて彼女は思った。

「人間は、生短く儚い存在、……だよね」

　一時期人間と共に過ごしていた事もあり、桜はそう呟く。また、ヒトの一生は花にも例えられる。時には己の欲望に忠実に、時には志を誠にするために、人間達は一人ひとりの生き様が色々あって面白いものだ。特に、新撰組の一員として時代に介入していた時は、それを強く思った。

「彼らは今、どうしているかな？転生、しているのかな…………もしそうなら、してたらいいな」

　輪廻という言葉もあり、とある宗教では人は死ぬと一度輪廻の中へ入り、その宗教の神に赦されると次の生が貰える、という事を説くらしい。
　因みに、彼らと言うのは新撰組の幹部達のこと。彼らは今から約150～160年前の幕末に存在していた、現代で言う警察官のような組織の中心人物である。桜と紅汰と紅姫は、彼らと仲が良かった。
　残念ながら朝霧家はどの宗教にも入っていないが、世界にある宗教ほぼ全ては知っている。