【歌い手】本性、バレちゃいました。

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「ただいま」









行ってきます、と意気揚々と出ていったのは数秒前の話。









……駄目だ。僕にこの暑さは耐えかねる。


引きこもり仲間のそらるさんも今頃蒸し焼きになってるはず。僕ももう少し頑張っていたらまふの照り焼きになっていたに違いない。

…何それまずそ。









……そういえば部屋のクーラー、つけっぱなしだった気がする。


よくやった僕。









癒されに行こう、と思いながら三階に着いた、





……その時。









『…れに、何なの……すぐ舌打ちとかさ。あり得な…社交辞れ……しょ大人でしょそん……かんないの？しかも……』



「…ひっ」









……悪口？すごい剣幕だったけど、裏の顔みたいなものかな。嘘と思いたい。

ただ残念なことにあれはキッチンで聞いた紫乃さんの綺麗な声。(しかし今回は高い声と違い低めの、しかも悪口を言ってるからか大変ドスの効いた声である)









……となると猫を被ってた…ってこと？









あんな笑顔の裏でこんなことを……。

恐るべき紫乃さん。








でも、紫乃さんは___今回は、悪女的な感じでもないし、危険ではない筈。









_____勿論、この事は他の人にも言うけど。









これだからやっぱり信じられないんだ、なんて軽く紫乃さんの部屋を睨みながら、まだ聞こえる悪口の嵐に聞き耳を立てた。









不意に、あの笑顔が頭をよぎった。


今はもう、作りものだってわかってしまったけど、それでも疑うくらい完璧で違和感のないあの笑顔。









…変な話、だけど。









「何か、猫被るのに慣れてるみたいだったな……」









…なんて、


*

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