▽ / snr ページ26
「…あの、ね」
そう切り出したきり、男の子から次の言葉が続かない。「えっと…」と言葉を手繰り寄せている感じはするが、周りの子たちの視線に緊張するのか、モジモジと黙ってしまう。
頑張れ…！とヤキモキしながら見ていると、Aさんがそっと男の子の小さな顔を両手で包み込んだ。
____それはまるで、刺さる視線からその子を守る様で。
…だいじょうぶ。
、、、えと、、あのね。
うんうん？
ぼく、今日のライオンさんのおはなしもすきだけど………
お馬さんも、ゾウさんも、すきなの。
そうなんだ。ゆう君は動物さんが好きなんだね。
「じゃあ今度のお話会は、お姫様のお話と別の動物さんのお話にしようね」
Aさんがゆるりと頭を撫でると、その子は初めてそのふっくらした頬を染めて笑ったのだった。
「お待たせしちゃってすみません…！」
受付前のベンチに腰掛けて待つこと10分弱。約束の時間から5分ほど経った頃、パタパタとAさんが駆けてくる。
「全然気にせんで。…ちびっ子たちのアイドルなんやなぁ、Aさん」
俺の言葉に「え、見てたんですか？」と少し目を丸くする。俺があの場を離れた後も、しばらく囲まれていたんだろう。
「あは、ちょっと恥ずかしい…」
「なんで？凄いなぁって思ったで。めっちゃ好かれとったし、恥ずかしがり屋な子のこともちゃんと気にかけて」
素直な感想だった。小さな彼らに視線を合わせ接する姿は優しさに満ちていて。あのシャイな男の子も、きっと救われたことだろう。
「あぁ…全然、気にかけてるっていうか、私がしたくてしてるんです」
小さい子って、自分と違うものに対して凄く残酷で。「何で喋んないのー？」とか「変なの」とか、平気で言っちゃうんです。
ゆう君も……きっと色んな所で悲しい思いしてると思う。
____どこか遠い目をして語る彼女は、昔の自分を見つめているのだろうか。
「だからね、教えてあげたいんです。
上手く言葉が出なくても、待ってくれる人はいるんだよって」
そう言って微笑をたたえる彼女はなんて立派で、尊い。
その穏やかな表情で、思い浮かべる人____��待ってくれる人��の中に、俺は入れているだろうか。
「…Aさんがもし、言葉が出て来ん時に急かされたりして困ってたらさ、」
____そん時は、俺が守ったるわ。さっきのAさんみたいに。
頭に浮かんだその言葉を言うのはなんだか烏滸がましいというか、お前誰やねんという気がして。
「嫌な思いしたら、いつでも愚痴ってな」と誤魔化せば、彼女は気づかず目を細めて、ありがとうと笑った。
17%. 行く年の縁に感謝→←16%. ワナビーライクユー / snr
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シオン - そ、そうだったんですね！続きが読めてとてもハッピーです！これからも幸せな2人のやりとりをひっそりと楽しませていただきます！ (2023年2月3日 19時) (
レス) @page46 id: 3ff5e2db98 (このIDを非表示/違反報告)
なん(プロフ) - 更新めちゃくちゃうれしい！くっついた2人がこれからどうなるのか楽しみです！！ (2023年1月31日 12時) (レス) @page46 id: 30f41c462b (このIDを非表示/違反報告)
ありぃ(プロフ) - (///◇///)ﾄﾞｷﾄﾞｷ (2023年1月30日 9時) (レス) @page46 id: a7d68907fb (このIDを非表示/違反報告)
打楽器(プロフ) - シオンさん» お久しぶりですすみませんでしたぁ(スライディング土下座)！！！ちょーっとプライベートが繁忙しておりました…うう………😭終わってないです！終わる時はあとがきまで書く所存なので！紛らわしくてすみません💦 (2023年1月29日 12時) (レス) id: fbabe361fc (このIDを非表示/違反報告)
シオン - ハッピーエンド？終わった、のでしょうか？（毎回トキメキ溢れ技させていただいてます）仕事終わりの娯楽の一つです、うまうま (2023年1月25日 20時) (レス) id: 3ff5e2db98 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：打楽器 | 作成日時：2022年9月19日 10時
