NARUTO"最後の約束と一雫の奇跡"

第３４話 一抹の迷い、本心 ページ34

A「サスケ…ッ」


Aはうっすらと涙がにじんだ目でサスケを見上げる。


サスケ「…ッ」


サスケは手の甲で涙を拭う。だが、あふれだす涙は容易には止まらない。


なんで…。


なんで、オレは泣いてるんだ？


なにが哀しいんだ？


イタチは…


家族を、一族を、すべてを奪った…


だから、オレは復讐者になった。


イタチを殺してAを取り戻すこと。


それがずっと目標だった。


なのに…


涙が止まらない。


オレは…


イタチが…


兄が死んだことを、


受け入れたくないのか…？



イタチ『許せサスケ』


額を小突いて、苦笑いするイタチ。


修行にたまに付き合ってくれたイタチ。


父さんに『さすがオレの子だ』と褒められたイタチが羨ましくていつもイタチの背中を追いかけてた。


輝かしい才能が、羨ましかった。


…。


…


いや、違う…。


本当は、オレは、


本当は…。


ズキッ


頭が痛む。



A『サスケ、遊ぼう！』


笑うA。


サスケ『A！』


Aを追いかけるオレ。


そして＿＿＿




イタチ『許せサスケ。また今度だ』





大好きな…兄さん。




オレは…兄さんを、殺した…。




兄さん、を…。




復讐のために。




…違う。



なにか、分からない気持ちが胸をひっかいた。




だって、イタチは…。



Aを…奪って、一族を抹殺した。



父さんと母さんを殺した。



だから、オレは…。



…。



傍らで泣きじゃくりながらオレを見上げるA。


涙をこぼしながら、すがるような目で見ている。


Aが泣いてる。



イタチが…死んだから。


…っ。


ギュッ



サスケはAを抱きしめた。


A「サスケ…？」

サスケ「…んでだよ、なんでだよ…！」



あふれる哀しみ。



サスケ「なんで、オレは泣いてんだよ…！オレはずっとイタチを殺すために…強さを求めた…っ。なのに…」


A「サスケ…」



Aはサスケにだきしめられ続ける。



サスケ…。



もしかして、本心じゃなかったの…？



本当は、ほんの少しでも、迷いがあったんじゃないの…？



そのとき、


ガサッ


ナルト「サスケ…!!」

サスケ「…」


現れたナルト、サクラ、カカシに一瞥すら与えず、サスケはAの首もとに顔をうずめたまま。


サクラ「あの子がA…？」

カカシ「うちはイタチ!?死んでいるのか!?」

サスケ「…」



サスケはAを抱きしめ続けた。

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第３５話 置き去りの真実→←第３３話 兄

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