NARUTO"最後の約束と一雫の奇跡"

第３３話 兄 ページ33

サスケ「…」


須佐能乎がまっすぐイタチに腕を振り下ろす。


イタチ「…」


イタチはかすんだ視界に映る弟から眼を離さず、眼を伏せて、開いた。


イタチ「天照…！」


黒炎が須佐能乎を呑み込むように覆う。


サスケ「！」

イタチ「…っは」


眼から血を流し、なお、口からも吐血。


サスケと戦う前からイタチの身体はずっと悲鳴をあげている。


薬で寿命を延ばすことが出来ても、病が消えることはなかった。


イタチ「…」


イタチはゆっくりサスケに向かって歩いて行く。


切り札をやぶられたサスケは思わず、後ずさる。


イタチ「…」


そして、イタチはサスケの眼に血だらけの手を伸ばし、


サスケ「！」


額を小突き、眼を見開くサスケに、静かに言った。



イタチ「許せサスケ。これで最後だ」



穏やかな表情。



それは、


幼い二人が仲がよかった頃と同じ笑み。



イタチ『許せサスケ。また今度だ』



かまってあげられないとき、いつもイタチは額を小突く。


サスケはその度に頬を膨らませた。



サスケ『いつもいつも、許せサスケって…』



サスケ「…」


イタチは微笑む。手がサスケの頬をなぞりながら滑るように落ちる。


イタチは前のめりに傾き、サスケの傍をすり抜けて倒れた。


サスケ「…」


声が、出ない。


状況が、読めない。


サスケ「イ……」


倒れた兄。


サスケ「…」


なんだ？


これで最後って…どういうことだ？


様々な疑問が頭を過る。


そして、


A「イタチ…ッ!!」


涙をこぼしながらAがかけてきて、イタチに走りよる。


A「…っ、イタチ！イタチ！」


イタチ「…」


動かない。


眼が開かない。


あの、穏やかな表情が見えない…。


A「嫌だよ…死なないでよ…、イタチ！イタチ…ッ！」


Aの涙がイタチの頬にぽたぽたこぼれる。



A「なんで…!?なんで…なん、で…!?」


サスケ「A…？」

A「…ッ」


Aは涙目でサスケを見上げる。すると、くしゃりと顔がゆがんだ。


A「サスケ…ッ、イタチは…イタチは悪くなんかないよ…！」

サスケ「…？」

A「わたしが…悪いの、全部…！イタチはずっと、サスケとわたしを守ろうとしてくれてたの！」



守ろうとした。


オレとAを？


なぜ？


だってイタチは、一族を抹殺した。


Aを奪った。


だから、イタチを殺すって決めた。


なのに、


なんでオレは泣いてるんだ…？


.


.

第３４話 一抹の迷い、本心→←第３２話 慟哭

• 金　運: ★☆☆☆☆
• 恋愛運: ★★★☆☆
• 健康運: ★★★★★
• 全体運: ★★★☆☆

ラッキーカラー

あずきいろ

ラッキーナンバー

8

ラッキーアルファベット

X

ラッキー方角

西 - この方角に福があるはずです

おみくじ

おみくじ結果は「末凶」でした！

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す