5…主のためなら ページ5
―――数年前―――
ピ「A、今日はボクの婚約者がくる日だからね。あまり邪魔しちゃダメだよ。分かった?」
貴「はい、わかりました!」
ピ「どうせならAも一回喋ってごらん。きっとお友達になれるよ!」
貴「お、お友達…//」
――――
ずっと屋敷にいて外にあまり出たことがなかった私。
初めての友達だとずっと期待していた。
でも違った。
私は人形にならなくてはならない。
どうして、ねえ、どうしてなの?
ほんの少しの時間だけど…笑う事を許されなかった…。
――――
ミ「あら、あなたがメイドのAさんですの?」
貴「は、はいっ!」
ミ「ピコから聞いていたわ。後でお話でもどう?」
貴「私でよければ喜んで」
ミ「貴方がいいのよ。どうしても、貴方が、ね?」
私はお茶の用意をしにキッチンへ向かった。
ミキ様も一緒に来て下さると言った。
「せっかくのドレスが汚れてしまいますから」とでも口実をつけて離せば良かった。
チャキッ
どこから出したのかわからない小型ナイフ。
それを私に突き立て言った一言。
「ピコと私の前では笑うな」
どうしてか尋ねた。
けれどもまともな答えは返ってこなかった。
ミ「どうして?何言ってんの、これは私からの命令よ?将来、私とピコに使えるのでしょう?でし たら今のうちから私の言う事は聞くものよ。分かった?」
貴「わ…分かりました」
ザクッ
貴「ィッ…」
ミ「これはね、約束のしるし。この事は絶対にピコに言ったらダメ。いいわね?」
貴「分かりました」
肩につけられた一本の傷痕。
それは今でも残ってる。
絶対に言ってはいけない、絶対に見せてはいけない。
苦しい…。
ピコ様が笑わせようとしている…
こんな私を、笑顔にしてくれようとしている…。
私はピコ様が好き。
優しくて、気が利いて。思いやりがあって。
いつだってそうだった…。
ミキ様が私を嫌っている。
それも分かっているピコ様はいつも私の横を歩いてくれる。
できる事ならばずっと一緒にいたい…。
でも許されない。
傷があってもなくても…
笑う事も、何もかも。
私はただ、『人形』でいればいいだけ…。
ピコ様が幸せになれるのならば…私は人形のままでいい…。
ピコ様、どうかお幸せになって下さい。
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シフォン - ぴこおおお!!!とっても感動しました!!続編期待してます!!!!というかやってくださいおねがいします!! (2015年4月19日 12時) (レス) id: e57fc26825 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりゆりにゃん(`・∀・´)(プロフ) - 面白い!.。゚+.(・∀・)゚+.゚ (2014年10月21日 20時) (レス) id: 593a3d64a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鏡音アレン | 作成日時:2014年8月15日 12時