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#19 ウタside ページ20

一瞬、発せられた言葉を反芻した。
部屋の空気が張り詰める。


ウ『…』

芳『…。』

貴「…何処かで、まだ現実を受け入れられていなかったんだと思います…私…
もしかしたら、全部夢なんじゃないかって…
そう…思い込もうとして。」


彼女の華奢な手は、静かに震えていた。


貴「でも…ニュースから流れる話は真実で…もう…否定しようがなくて……っ…
…あの子は…私の中学の友人です…
いつも隣に居てくれた…大切な人です…
…なのに…
……私、稔に…あんな顔…うっ…うぅ…」


嗚咽を漏らす彼女に触れようと手を伸ばしかけ、
僕は辞めた。
今にも壊れてしまいそうな気がして、恐ろしくて。

入見さんが彼女の背中をさすってくれた。
少ししてから、またぽつりぽつりと話し始める。


貴「…私…もしも、元の生活に戻れたとしても…
…もう昨日までのように笑えません…
それに…
まだ…現実に向き合いたくないです…
こんなの…我が儘だって分かっています…
でも……。」

ウ『Aちゃん。』


やっと絞り出した言葉は、他人の声のように耳の奥で響いた。


ウ『…僕の所に、来てくれないかな。』

貴「…え…?」

ウ『君を連れてきたのは僕だ。
だから…責任は僕がとるべきだと思う。
君が良ければ…だけど。』

貴「ウタさん…」

芳「Aちゃん。君が君の世界へ戻りたくないと言うのなら、そうするといい。私達も出来る限りの手助けはしよう。」


涙に濡れた睫毛の奥に煌めく澄んだ瞳は
少し驚いたように見開かれ、
とても美しかった。


貴「…私を、ウタさんの元に置いて下さい。
…それで…よ、よろしくお願いします。」

ウ『…こちらこそ。』


いつの間にか、彼女の頬は桜色に染まっていた。

目の前の淑やかな少女に
僕は静かに微笑んだ。








____________________

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設定タグ:東京喰種 , ウタ , 過去編   
作品ジャンル:恋愛
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仄留(プロフ) - わぁぁぁぁぁぁぁこんな駄作にわざわざお越しくださりありがとうございます!!!イトリさんの勘はですね…当たるかも知れませんし当たらないかも知れませんし…これからの展開は大分決まっているので、なるべく早く更新出来るよう善処します!!! (2016年6月6日 20時) (レス) id: d527d52063 (このIDを非表示/違反報告)
Kitchen(プロフ) - おすすめされて読んでみたらとても面白いです!イトリさんの含みが気になるっ…ウタさんが素敵なので夢主ちゃんとの絡みが今後も楽しみです、お待ちしていますね (2016年5月28日 17時) (レス) id: ec453351d6 (このIDを非表示/違反報告)
仄留(プロフ) - からくりエンブレムさん» わかって下さいますかぁぁぁぁぁ!!!イケメンですよね!!!更新頑張らねば!!! (2016年3月24日 19時) (レス) id: bee24c7ba2 (このIDを非表示/違反報告)
からくりエンブレム - ああぁぁぁぁ!ウタさんイケメンすぎる!もういや!wイケメンすぎて後光が見えるよ!!www (2016年2月22日 21時) (レス) id: ce01d3945f (このIDを非表示/違反報告)
仄留(プロフ) - こけたんさん» JAILやるためにPSVitaまで買ったのにあれは難しすぎます…万丈の再戦すら勝てない…なんたる屈辱(ひどい)私はしょっちゅうゲームオーバーになるのでよくウタさんに蔑まれますよwだがしかしそこがいい!!←魅力的ですよね〜 (2016年2月22日 14時) (レス) id: cb5ecd7c71 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:仄留 | 作成日時:2014年10月15日 0時

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