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#15 貴方side ページ16

空には星が瞬き、空気は冷たく澄んでいた。
無数の輝きは数え上げればキリがなくて、ずっと見つめていると吸い込まれそうな感覚に陥る。

ふと、右手の温もりの主に声をかけた。


貴「あの、ウタさん。」

ウ『ん?』

貴「私いま、なんだかとっても不思議な気持ちで
す。」

ウ『…どうして?』

貴「…襲われて、死にかけて、助けてもらって、
快く迎え入れてもらえて…
色んな事がこの数時間の間に起きて、
大切なものも失ったっていうのに、私…
…何故か心は意外なほど静かなんです。
…なんて、まだ心の整理が追いついていない
だけかも知れないですけど。」


ウタさんは静かに私の言葉に耳を傾けている。
一つ、白い息を吐いた。


貴「今私が生きているのも、イトリさんに出会えた事も、この温もりを感じていられるのも…
…本当に奇跡なんだなって…
…そう思うと、
なんだかすごくあったかいんです、心が。」

ウ『………。』


貴「だから…



  …ありがとうございます。
  …私を助けてくれて。



  ウタさんが手を差し伸べてくれなかったら、
私は今ここにいないです。きっと。」
 


言われた本人は少し目を見開いて、優しい笑みを返してくれた。


ウ『…どういたしまして。』


本当、不思議な気持ち。
なんでこんなに胸があったかくて、ふわふわしているんだろう。


ウ『明日は、20区にある"あんていく"っていう喫茶店に行ってみようと思うんだ
色々、相談にのってくれると思うよ。』

貴「わかりました。」

ウ『…Aちゃん。』

貴「…?」

ウ『君に手を差し伸べた以上、僕が面倒みるよ。
  だから安心して。ずっと、そばにいるから。』

貴「…はい!」


頬に当たる冷たい風は、いつしか気にならなくなっていた。
それどころか、体中、灯がともったように温かい。


胸に燻る不安は、右手の温もりが消してくれる。


そんな風に、思えたから。

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設定タグ:東京喰種 , ウタ , 過去編   
作品ジャンル:恋愛
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仄留(プロフ) - わぁぁぁぁぁぁぁこんな駄作にわざわざお越しくださりありがとうございます!!!イトリさんの勘はですね…当たるかも知れませんし当たらないかも知れませんし…これからの展開は大分決まっているので、なるべく早く更新出来るよう善処します!!! (2016年6月6日 20時) (レス) id: d527d52063 (このIDを非表示/違反報告)
Kitchen(プロフ) - おすすめされて読んでみたらとても面白いです!イトリさんの含みが気になるっ…ウタさんが素敵なので夢主ちゃんとの絡みが今後も楽しみです、お待ちしていますね (2016年5月28日 17時) (レス) id: ec453351d6 (このIDを非表示/違反報告)
仄留(プロフ) - からくりエンブレムさん» わかって下さいますかぁぁぁぁぁ!!!イケメンですよね!!!更新頑張らねば!!! (2016年3月24日 19時) (レス) id: bee24c7ba2 (このIDを非表示/違反報告)
からくりエンブレム - ああぁぁぁぁ!ウタさんイケメンすぎる!もういや!wイケメンすぎて後光が見えるよ!!www (2016年2月22日 21時) (レス) id: ce01d3945f (このIDを非表示/違反報告)
仄留(プロフ) - こけたんさん» JAILやるためにPSVitaまで買ったのにあれは難しすぎます…万丈の再戦すら勝てない…なんたる屈辱(ひどい)私はしょっちゅうゲームオーバーになるのでよくウタさんに蔑まれますよwだがしかしそこがいい!!←魅力的ですよね〜 (2016年2月22日 14時) (レス) id: cb5ecd7c71 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:仄留 | 作成日時:2014年10月15日 0時

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