*2(傷跡) ページ33
幸助side
Aとの、最悪の再会。
恐怖に歪んで行くAを見て、心の底から嬉しくなった。
そうだ、そうやって、ちゃんと俺を見ろ。
俺の手で増えていくAの傷。心も体も、随分傷だらけにしてやった。
それが分かるたびに、身体がぞくぞくして、また傷つけてやりたくなる。
俺が付けた傷なら、それも、俺のものだろ。
なのに。
いま、お前の隣にいる奴は、誰?
こいつが、Aに俺が付けた傷を消したのか?
だからAはいま、こんなにも幸せそうな顏で笑っているのか?
なあ、A。
俺は、きっとお前以外は受け付けられないんだろうな。
なのに、お前は違ったのか。
…取り戻す?そんなことをしても、こいつの中からあの男は消えない。
諦めるなんて論外。じゃあ、答えはただ一つ。
手に入れた奴が手の届かない場所へと、Aを連れ去ってしまえばいい。
なあ、そうだろ?
いつかの監獄ごと、Aを、俺だけのものにする。
こうやって最悪の再会を果たしたのも、それはきっと、『運命』だ。
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貴女side
心…中…?
一瞬、なにを言われているのか分からず、その場に硬直する。
そしてその言葉を理解できた瞬間から、得体の知れない恐怖と絶望感が、脳を占領した。
「……………え…?」
「だって、そうでしょ?いま、力ずくでアイツからAを奪っても、Aの中から
アイツは消えない。だったら」
俺が、自分と一緒に壊してあげる。
きっと、今よりもっともっと楽になれると思うけど?
この人、絶対に普通じゃない。
こんな恐ろしいことをこんなに軽く口に出せるなんて、普通じゃない。
怖い。
今すぐここから逃げ出したいのに、足がすくんで一歩も動けない。
嫌だと言いたいのに、出てくるのは涙だけ。
喉がカラカラに渇いて声が出ない。恐怖で身体が硬直して動かない。
「ね?いい考えでしょ?」
誰か助けて。
「A、そらるさんっ…!!」
たった今、心の中で助けを求めた人の声が聞こえた瞬間、それは絶望に染まった。
お願い、まふくん。
そらるさんを助けて、すぐにここから逃げて。
お願いだから、
私を、助けないで。
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夕焼涙雫(プロフ) - 栗原 真白さん» 面白かったですよいー(*ゝω・*) (2018年9月23日 6時) (レス) id: 76522a65f0 (このIDを非表示/違反報告)
栗原 真白 - 夕焼涙雫さん» ほ、ほんとですか…?!嬉しいです、ありがとです…!! (2018年9月22日 19時) (レス) id: 0170d3c859 (このIDを非表示/違反報告)
栗原 真白 - Canpasuーキャンーさん» ありがとうございます(*>ω<*) (2018年9月22日 19時) (レス) id: 0170d3c859 (このIDを非表示/違反報告)
夕焼涙雫(プロフ) - 完結じゃー!時間がある時(=休日)に読み返そう (2018年9月20日 6時) (レス) id: 76522a65f0 (このIDを非表示/違反報告)
Canpasuーキャンー(プロフ) - 完結(?)お疲れさま!そらるさんの次回作、楽しみにしてるよ! (2018年9月19日 20時) (レス) id: 1cab1691ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:青瀬真白 | 作成日時:2018年6月26日 6時