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お引越し ページ22

貴方side


あの日から、数カ月が経った。

少しおびえながらも踏み出した外の世界は明るくて。
まふくんのあたたかさ、優しさにふれて開いた心はひどく安らかで。

こんな世界を、私はこれまで知らなかったんだ。

「あ、Aー、これってどこ置いたらいい??」
「んーと、あ、そこの棚の上に置いといて。あとで整理してしまっておく!」
「はーい!」

まふくんは私の言ったとおりに棚の上に段ボール箱を置いて、「次は?」と聞いてくる。
やっぱり、まふくんは身体が大きいからすごく助かる。
体格のわりに意外と力あるし。

ひととおり片付けが終わると、まふくんが私に向かって両手を広げてきた。

「ん!」
「ん?」

目で言われるままにまふくんの腕の中におさまると、まふくんがにこにこしながら言った。


「今日から、よろしくね!」


そう、今日から私は、まふくんと一緒にこの家に住みます。
同棲ってこと。


「うん、よろしくね、まふくん。」


このときの私は、まだ知らなかった。

まふくんとひとつ屋根の下で一緒に過ごしていけるということが、
いま、彼の腕に抱きしめてもらえているということが、奇跡じゃないかと思うほどに嬉しくて。

「A、すき………」
「…うん、私も。まふくんだいすき」

こうしてすきあえていることが、ひどいくらいに幸せで。

今思えば、私がまふくんの家に来なければ、まふくんが私と出会っていなければ、
まふくんはあんな目に遭わなくてすんだはずなのに。

このときの私は、見たこともない神様に小さな希望を願っていた。


まふくんと、これからもずっとずっと、一緒にいられたらいいな、なんて。


あぁ、神様。

こんな小さな願いごとも、私には叶えてくれないの?
無慈悲でひどい神様。

もう、私は不幸でよかったから。





まふくんだけは、幸せでいてほしかった。

最悪の再会→←*2



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設定タグ:まふまふ , 恋愛 , 歌い手   
作品ジャンル:恋愛
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夕焼涙雫(プロフ) - 栗原 真白さん» 面白かったですよいー(*ゝω・*) (2018年9月23日 6時) (レス) id: 76522a65f0 (このIDを非表示/違反報告)
栗原 真白 - 夕焼涙雫さん» ほ、ほんとですか…?!嬉しいです、ありがとです…!! (2018年9月22日 19時) (レス) id: 0170d3c859 (このIDを非表示/違反報告)
栗原 真白 - Canpasuーキャンーさん» ありがとうございます(*>ω<*) (2018年9月22日 19時) (レス) id: 0170d3c859 (このIDを非表示/違反報告)
夕焼涙雫(プロフ) - 完結じゃー!時間がある時(=休日)に読み返そう (2018年9月20日 6時) (レス) id: 76522a65f0 (このIDを非表示/違反報告)
Canpasuーキャンー(プロフ) - 完結(?)お疲れさま!そらるさんの次回作、楽しみにしてるよ! (2018年9月19日 20時) (レス) id: 1cab1691ff (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:青瀬真白 | 作成日時:2018年6月26日 6時

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