もう、つらい思いなんてさせない。【まふまふ】 (ページ23)

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最悪の再会ページ23

貴方side

「わ、A今の見た！？」
「えっ？なになに見えなかった！」

今、私はまふくんと水族館に遊びに来てる。
イルカとか、アザラシとか、いろんな生き物が気持ちよさそうに泳いでる。

「あー！クマノミがいる！！かわいい！！」
「ほんとだ、かわいい…」

まふくんはよほど遊びにこれたのが嬉しいのか、すごくテンションが高い。
なんだかその様子がかわいくて、自然と頬が緩んでいく。

というか、まふくん背が高いしかっこいいからさっきから女性にちらちら見られてる。

「ねぇねぇ、あのひとかっこよくない？？//」
「ほんとだー、でも彼女持ちじゃん。」
「あーん、声かけたかったなァー」

ほら、今だって女の子がまふくんのこと見てるもん。
ほんとに、なんでこんなかっこいい人が私なんかと付き合ってるんだろ。

「次どこ行く？なんか３階にサメの水槽あるらしいよ」
「サメっ？行ってみる？」
「うん！」

ドンッ

まふくんに手を引かれて数歩歩いた瞬間、私の肩が誰かの身体にぶつかってしまった。
肩に走った痛みに少しだけ顔を歪めながら、謝ろうと振り向く。

「あ、ごめんなさ………」
「……………」

気を失いそうだった。

「……A？」

どうして

「……Aだよなァ？」

どうして、あなたがここにいるの。

終わったはずの悪夢が、眠りから覚めていく。

救い出してもらったはずの闇に、また深く、墜ちていく。

視界がグラグラして、だんだん真っ黒になっていく。

私には、ほんの少しの幸せも許されないの？

「………………幸助さん……」

木戸幸助。

私の、すべてだった人。

数カ月前、私に傷をつけるだけつけて、あの家を出ていった人。

ああ、なんで。

「…久しぶりだなァ、会いたかったよ。やっぱ俺、お前じゃないとダメなんだよね。」

気持ち悪く口角を上げて近づいてくる彼。
逃げたいのに体が動かない。足が震えて力が入らない。

来ないで、来ないで…っ

「Aっ……？ちょ、Aっ…？！」

まふくんの慌てた声が耳の奥で小さく響いた。

力の入らない脚がバランスを崩して、私の身体を支えるものがなくなる。
思考回路がショートして、何も考えられなくなる。

唯一心で感じていたのは、恐怖と、絶望と、まふくんの手のぬくもりだった。

私は涙でかすむ視界を最後に、意識を手放した。