不意打ち ページ8
私と瑠璃との一連の会話を折原さんは黙ってじっと聞いていたけれど、不意に口を開いた。
「Aちゃん」
『へっ…？！』
「Aちゃん、っていうんやな」
『は、はい…』
急に名前を呼ばれてドキドキした結果、一瞬声が上擦ってしまった事に折原さんは気が付いただろうか。どうか気が付かないでいてほしい。私が一人葛藤している中、折原さんはニコニコしながらウーロン茶を呑気に飲んでいた。
「名前ちゃんはさ…」
「折原さぁーん！何か飲みますか？」
私に何かを言いかけた折原さんの言葉を遮って、友華ちゃんが折原さんに声を掛けた。
「んー…どうしよ…」
ちょうど私のすぐ近くにあったドリンクメニューを折原さんにおずおずと差し出すと、折原さんはすぐに笑顔になって覗き込んできた。…覗き込んできた？
「Aちゃんもそろそろ飲み物なくなりそうやけど、何か頼む？」
『え、えっと…』
顔の近さにドキドキしながら、私も折原さんと一緒にメニューを見る。色んな種類がありすぎて、早く決めなくてはいけないのに、中々決められない。
「あ、これノンアルコールカクテルやって」
『美味しそう…』
「じゃあ、これにしよか？店員さん、これ2つで！」
メニューに載っていた黄色のカクテルはキラキラして見えて、折原さんの言葉にすぐさま頷いた。そしてまた折原さんは私に気を遣ってか同じものを頼んでくれた。
『ありがとうございます…』
「ええのええの、好きでやってるだけですから」
「折原さん、カッコいい〜！」
「よ、イケメン！」
「拓海も十分イケメンやろ〜」
ケラケラと笑う折原さんは横顔すら格好良くて、チラチラと眺めてしまう。だけど、その度に視界の奥に瑠璃や友華ちゃんや香織ちゃんが映り込んで、私を気分を暗くさせる。
「折原さんって彼女いないんですかー？」
「今はおらんなぁ」
「でもモテますよね？」
「まあな？羨ましいやろ？」
「くぅ〜！一度でいいから言ってみてぇ！」
折原さんは女の子たちからだけでなく、一緒にお仕事をしている男の人達からも好かれているのがよく分かる。確かにこんなにも格好良くて、気さくで、気遣いができる先輩がいたら、慕うに決まっている。
「はいはい！好きな女の子のタイプとかありますか？」
「んー、好きになった子がタイプ、かなぁ…」
「えー！素敵！」
「じゃあ、一目惚れするタイプですか？じっくり好きになっていくタイプですか？」
「んー…」
折原さんはそこで何故か私の方をチラリを見てきた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3278人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
紫苑(プロフ) - リリトさん» リリトさん、コメントありがとうございます！ そんな偶然があるんですね？！自分で名前を設定しておきながら驚きました笑 (2020年11月9日 19時) (
レス) id: 25868fbf10 (このIDを非表示/違反報告)
リリト - 漢字は違うけど、本名同じ人おったｗｗ (2020年10月22日 17時) (レス) id: 5c9bfe90e0 (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - ひよりんさん» こんばんは。メッセージを返信させて頂きましたので、ご確認頂ければ幸いです。 (2020年8月22日 0時) (レス) id: 25868fbf10 (このIDを非表示/違反報告)
ひよりん(プロフ) - こんにちは。メッセージ送らせていただいたので、見ていただければ幸いです。 (2020年8月21日 21時) (レス) id: 222226e292 (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - センラさん推しさん» センラさん推しさん、コメントありがとうございます！ 神様だなんて畏れ多いです…！ですがありがとうございます、嬉しいです。 これからも頑張りますね！ (2020年3月18日 22時) (レス) id: 25868fbf10 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：紫苑
| 作成日時：2019年11月1日 18時
