電車 ページ31
ホームに上がってすぐ、電車が到着したので二人で乗り込む。車内は混んでいて、私は折原さんとの距離の近さにドキドキする。目の前にある折原さんのスーツからは僅かに柑橘系の香りがした。
(って、私は変態か…！)
内心で自分にツッコミながら、電車に揺られる。…そういえば折原さんは同じ電車に乗っているけれど、どこまで乗るのだろう。
『あの、』
「っ、顔上げんでも聞こえるから…！」
折原さんに話しかけるために顔を上げようとすると、折原さんに慌てて頭を抑えられ、顔を下に向かされた。
『？あの…折原さんはどこまで乗るんですか？』
「え？」
『え…？』
「あっいやー…Aちゃんをお家まで送ろうと思っとったんやけど…」
『え、いいんですか…？』
「おん。心配やし、送らせて？」
『ありがとうございます…』
それから二人で今日の焼肉の何が美味しかったかとか、折原さんのお友達のお話を聞かせてもらってた。折原さんのお友達さんはかなり個性的らしく、折原さんのお話が上手なのも相まって、飽きずにずっと聞いていられた。
『ひゃっ…！』
「っと、大丈夫？」
『は、はい…！』
「ごめんなぁ…次の駅までの辛抱やから…」
そんな折、電車が大きく揺れた。話に夢中になっていた私はバランスを崩してしまい、後ろの扉に背中をぶつけてしまう。そして、私と同様にバランスを崩した折原さんは扉に片手をつけてバランスを取ったようだった。
その結果、今の私は折原さんにその…壁ドンと言われるようなものをされているわけで。折原さんは謝ってくれたけれど、私は内心でちょっぴり喜んでいた。あまりの距離の近さに折原さんの顔は直視できないけれど、折原さんの匂いに包まれて、まるで抱きしめられているような感覚になる。
(って、また私変態みたいな事考えちゃってる…！)
ドキドキと高鳴る胸の鼓動と紅くなった顔にどうか気が付かれませんように、と願いながら私は顔を俯かせるのだった。
どうかこのまま次の駅に着かないでほしい、そんな私の我儘は叶うはずもなく、無情にも電車は次の駅に到着した。私が背にしていた扉とは反対側の扉が開き、次々と人が降りて行く。
「ふぅー…びっくりしたなぁ。ごめんな、焼肉臭くなかった？」
『い、いえ、全然大丈夫でした！』
「ほんまにー？なら良かったわ」
良かった、と言いながらもスーツの匂いを嗅ぐふりをする折原さんが可愛くて、失礼ながらクスリと笑ってしまうのだった。
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紫苑(プロフ) - リリトさん» リリトさん、コメントありがとうございます！ そんな偶然があるんですね？！自分で名前を設定しておきながら驚きました笑 (2020年11月9日 19時) (
レス) id: 25868fbf10 (このIDを非表示/違反報告)
リリト - 漢字は違うけど、本名同じ人おったｗｗ (2020年10月22日 17時) (レス) id: 5c9bfe90e0 (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - ひよりんさん» こんばんは。メッセージを返信させて頂きましたので、ご確認頂ければ幸いです。 (2020年8月22日 0時) (レス) id: 25868fbf10 (このIDを非表示/違反報告)
ひよりん(プロフ) - こんにちは。メッセージ送らせていただいたので、見ていただければ幸いです。 (2020年8月21日 21時) (レス) id: 222226e292 (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - センラさん推しさん» センラさん推しさん、コメントありがとうございます！ 神様だなんて畏れ多いです…！ですがありがとうございます、嬉しいです。 これからも頑張りますね！ (2020年3月18日 22時) (レス) id: 25868fbf10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紫苑
| 作成日時：2019年11月1日 18時
