stage.6-1 ページ9
カジノのオーナー、と言われても具体的に何をすればいいのか分からなかった私は、ひとまず友人と共に「カジノ SHUFFLE」を訪れた。
私たちの顔を見た途端、入り口に立っていた用心棒の男性が慌てて裏口に案内してくれた。そして慌てたまま建物の中に入って行ったと思ったら数分で、昨日会った厳つい男性を連れてきた。
「来たか…!全く、昨日は肝を冷やしたぞ」
「あ、昨日の…」
「前オーナーの金城だ」
「あ、金城さん…。昨晩は失礼しました。お陰様で門限には無事間に合いました」
「…そうか。君の突拍子の無い行動や言動には驚かされたが、後から友人に聞いたら昨日初めてこのカジノに来たそうだな」
「はい」
「しかも大会に参加する予定も元々は無かったと」
「…はい」
「………そんな人間が優勝するとは、運命の女神とやらは全く…」
金城さんは額に手を当て、何やらぶつぶつと呟いていたが、やがて自己完結したのか小さく息を吐き出し、私の方に向き直った。
「ともかく、昨日の大会で君は優勝した。そして優勝商品はこのカジノのオーナー権であり、この権利を放棄は出来ない」
「えっ」
「言いたい事も色々あるだろうし、一度中に入れ」
「…はい」
友人と共に案内されたのは、小さな応接室。ふかふかのソファーに感動していると、金城さんは紅茶とクッキーを持ってきてくれた。
厳つい男性がお洒落なティーカップを持っている姿は結構シュールだったが、口には出さないでおこうと思った。
「毒や薬は入ってない。だが一応、確認してくれ」
「え、怖っ…」
「ごく稀にそういう輩がいる。カジノのオーナーなら金を持っているだろうと狙ってくる奴がな」
「…あの、やっぱり私オーナーなんて出来ません。まだ18歳の若造ですし」
「18?!」
「あ、はい…」
「昨日は、この子の誕生日祝いにカジノに連れてきたんです」
「…嘘だろ」
さっきよりも激しく頭を抱える金城さん。何だか申し訳ない気持ちにはなるが、悩ませている原因が自分なだけに下手に口出しができない。
「はぁ………先程も言ったが、オーナー権は誰にも譲れない。優勝した人間が死なない限りはな」
「っ!!」
「オーナーの仕事など出来ない、と誰かに任せきりにしてもいいが、その場合横領やら事件が起きた時の責任は全部君に行く羽目になる。なので、あまりお勧めはできない」
「う………」
金城の言葉はとても真摯で、真剣に私の為を想っていてくれる事は伝わってくる。
「そこで、だ。君に1つ提案がある」
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紫苑(プロフ) - リリさん» ちゃんと変換できたみたいで良かったです! ご不便をおかけして、失礼しましたm(__)m 頑張ります!ありがとうございます! (2019年10月14日 0時) (レス) id: 25868fbf10 (このIDを非表示/違反報告)
リリ(プロフ) - ちゃんと、名前が出来ていました!名前で呼ばれるのが嬉しいです( ̄∇ ̄*)ゞ次も頑張ってください! (2019年10月13日 18時) (レス) id: 3c3ec4405a (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - リリさん» リリさん、ご指摘ありがとうございます…!こちらの設定ミスです…修正いたしましたので、名前が変換されるはずです! 応援ありがとうございます!頑張ります!!! (2019年10月11日 21時) (レス) id: 25868fbf10 (このIDを非表示/違反報告)
リリ(プロフ) - 最高です!登場人物の、名前を変える設定で名前を入れても、変えれないのですが……どういうことでしょうか……これからも、頑張ってください! (2019年10月11日 15時) (レス) id: 3c3ec4405a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紫苑 | 作成日時:2019年10月7日 13時