stage.16-1 ページ22
大会の会場から抜け出し、控室である事務室へと向かっていると、廊下の向こう側から誰かが歩いて来るのが見えた。
(スタッフかな？でも今は全員会場内に配置してたはずなんだけど…)
内心で首を傾げながらすれ違おうとして―――
『むぐっ！？』
不意に伸びてきた腕が私を羽交い絞めにし、口元にハンカチを当ててきた。突然の事に硬直していると、段々と身体の力が抜けていき、意識が沈んでいくのを感じる。
(やば、金城さんに怒られる…)
「大会中に何かトラブルが起きれば、運営側のひいてはオーナーの責任になる。肝に銘じておけ」
金城さんの言葉がフラッシュバックして一瞬だけ意識を引き戻す。最後の抵抗として私は密かに指輪を外して落とした。足元は絨毯なので誘拐犯に音はバレないはず、そう頭をフル回転させている間に、いつの間にか私の意識はプツリと途切れるのだった。
「んぅ………あれ、ここどこ？」
次に私が目を覚ました場所は薄暗い空間。ぼんやりとした意識の中で、直前の記憶を遡り、ガバリと身を起こした。
『今何時っ？！』
幸い手足は縛られていなかったので、私はベストの内ポケットに入れていた懐中時計を取り出した。時計が動いている事を確認しつつ、時刻を見ると、開会式から1時間程経っていた。
(どうしよう…予定だとまだ予選を行っているはずだけど………)
どうにかして外部と連絡を取れないか、私は模索を始めた。
ひとまず、自分が何処にいるかの確認から始める。ここは室内、窓はかなり高い所にある、扉は一か所だけ、様々な荷物が乱雑に置かれている。よくよく確認してみると、私はこの場所を知っている。
『ここ、倉庫では？』
古くなったビリヤード台やテーブル、スツールなどが置かれているこの場所は、従業員のAとして働いている時に何度か足を踏み入れた事がある。場所が分かれば、多少の恐怖は薄れた。しかも自分の良く知る敷地内ならば、尚更。
一応確認のために扉を開けようと格闘したが、当然開かない。いつもは持っているマスターキーは今日は自室にある。
『…でも倉庫なら、アレがあるのでは？』
記憶を辿り、私は部屋のある一角に足を向ける。そこには使われなくなった無線機やインカムが置いてある。
『使えるもの、ないかな…』
いざという時の為にと、無線機の使い方を金城さんから習っておいて良かった。内心で金城さんに感謝しながら、私は数十台の小さな無線機と数台のスピーカーと格闘を始めるのであった。
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紫苑(プロフ) - リリさん» ちゃんと変換できたみたいで良かったです！ ご不便をおかけして、失礼しましたm(__)m 頑張ります！ありがとうございます！ (2019年10月14日 0時) (
レス) id: 25868fbf10 (このIDを非表示/違反報告)
リリ(プロフ) - ちゃんと、名前が出来ていました！名前で呼ばれるのが嬉しいです(￣∇￣*)ゞ次も頑張ってください！ (2019年10月13日 18時) (レス) id: 3c3ec4405a (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - リリさん» リリさん、ご指摘ありがとうございます…！こちらの設定ミスです…修正いたしましたので、名前が変換されるはずです！ 応援ありがとうございます！頑張ります！！！ (2019年10月11日 21時) (レス) id: 25868fbf10 (このIDを非表示/違反報告)
リリ(プロフ) - 最高です！登場人物の、名前を変える設定で名前を入れても、変えれないのですが……どういうことでしょうか……これからも、頑張ってください！ (2019年10月11日 15時) (レス) id: 3c3ec4405a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紫苑
| 作成日時：2019年10月7日 13時
