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『私ね、初めてが智くんで良かったよ』
「...」
『智くんからしたら、今までにもこれからにも星の数ほど居る恋人の中の一人かも知れない』
『でも、』
『私、初めてが智くんで良かった。』
重くてごめんね、って。震える声で付け足した。
彼は、笑うだろうか。
馬鹿だなぁって、舌っ足らずに言うだろうか。
「A」
『...なに』
「おれも。」
『...なにが』
「おれも、寝てねぇよ」
どんな言葉が来ても大丈夫な様に準備していたはずの頭が、あまりにも予想外すぎる彼の言葉に一瞬でパンクした。
近くで震えた私のスマホの液晶に映る母からのLINEが今は鬱陶しくて、そっと電源を落とす。
『...なんで、』
「わっかんない。」
「おれにもわかんないけどさ、」
「なんかドキドキしてねれなかったの」
「こんなこと初めてでびっくりしてんだけど、」
「ちょっと怖ぇんだよね。」
『...』
「もうこれ以上好きになれねぇほど好きなくせに、どんどん夢中になってくおれが怖い」
さとしくん
意味も無く、けど無意識に、私は大好きな人の名前を呼んだ。
ん、
って、鼻にかかる声が返ってきて、嬉しくて私はまた彼の名前を呼ぶ。
『さとしくん』
「ん、」
『だいすき』
床に脱ぎ捨てられたカーキのワンピースが、視界の端で揺れた。
彼の体温が離れるのは、まだ何時間も先の話。
end.
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ウタ(プロフ) - 愛梨さん» ありがとうございます！とても嬉しいです。励みになります。これからもマイペースに頑張ります！ (2020年1月5日 18時) (
レス) id: 2132398f2b (このIDを非表示/違反報告)
愛梨 - はじめまして。どのお話もとーっても面白くて大好きです。更新大変だとは思いますが頑張ってください。応援してます。 (2020年1月5日 14時) (レス) id: f7e12740e2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ウタ | 作成日時：2019年1月31日 21時
