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貴方side
『…鬱…私はここにいるんだよ…？』
語りかけても聞こえない
彼の身体に触れようとしても通り抜けてしまうだろうから触れるのを辞める
寂しいよ…
あなたの温もりをまた感じたいんだよ…
突然鬱が立ち上がり、私の身体に手を伸ばす
その手で自らの頬を叩いた
ut「…ッ…だめや、落ち着け俺…だめやって…こんな状態……やから…」
部屋を出ていってしまう
行かないで…
気づいてもらえない悲しみ、触れられない寂しさ
混ざりに混ざって全部溢れる
…私の身体の中に戻れないかな…
口の中からはいる…とか、同じ体制になってみる…とか？
でも、すかっと抜けてしまう
どれも無意味だった
…なら、私は彼のそばにいたい
外に出てみると、ドアのすぐ横で蹲っていた
鬱…泣いてるの？
涙を拭おうと…出来ないのに手を伸ばす
ut「…？Aちゃんそこに…そこにおるんか？」
…私は…
『私はずっとそばにいたんだよ…？ねぇ鬱、普段の私ならこんなこと言わないかもしれないけど…けど…私を助けて…ッ…』
彼に向かって手を伸ばした
でも、触れられない恐怖感が私の心を覆い尽くしすぐに引っ込める
でも、彼の大きな手が私の手に触れた気がした
確かに私の手に暖かさが…
ut「…！なんで気づかんかったんやろ…」
そう言って立ち上がる
私の手をしっかりと握って
どうして触れられて…るの…？
そして何を思ったのか、私の寝ている場所に六芒星の魔方陣をだしてナニカを唱え始める
なんの魔法…？聞いたことも無い発音だし、長文詠唱なんて初めてみた
すると、私の身体の中央部に可笑しな陣が浮き上がり、消えていく
ut「そりゃ変なことしか起きんわけや…Aちゃんの身体の中にお前の意識が入ってるなんてなぁエドラ？」
エドラ…！？なんで…そんなっ…
ut「いっちょ前に禁術使って…魔力が足りなくて意識が覚醒せんかったんやな」
"もう……で…たの…ぃ…"
そう聞こえた
すると私の意識が吸い込まれていって…
.
.
.
.
.
.
目を開けて身体を起き上がらせる
…ちゃんと触れられる
ut「おかえり…Aちゃん…！」
ポロポロと涙を零しながら優しい笑顔を向けてくれる
『ただいま、助けてくれて…ありがとうっ…！』
ふわりと香る彼の匂い
優しくて暖かくて安心する温もり
やっと…やっと…
私の居場所に帰れたんだ…！
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作者名：くいな | 作成日時：2019年11月28日 20時
