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*33* ページ35

貴方side


ゆっくりと周りを見渡す


私の手を両手でしっかりと握り、こちらを見つめる鬱


でも…手を触れられている感覚はない
なんでだろ…?


『鬱…心配かけてごめん』


身体を起き上がらせてそう言う。


彼からの反応は…ない


鬱は今…どこを見ているの?
どうして…目が合わないの…?


ut「…Aちゃん…もうまる5日寝てるんやで…そろそろ起きたってええやろ…」


『え…私は起きてるよ…?』


恐る恐る鬱の目線の先を見る


そこには寝ている私が…!


どういう…こと?
試しに彼の身体に手を触れてみる


スカッとすり抜けてしまう


あ…


すると、部屋にメルが入ってくる


メ「鬱…そろそろ何か食べて少し寝なよ…ずっとそのままでいちゃ倒れる…!」


ut「いや…このままでええ。いつ起きても大丈夫なようにずっと傍におってやりたいんよ」


メ「…分かった」


部屋を出ていってしまう


ut「なぁ…この国は平和になったんやで。それもこれも全てAちゃんのおかげやって国民が言ってる。犠牲はなし、被害もなし…でも…みんな王がおらんくて寂しがってる、はよ起きてや…」


そうか…何事もなく終わった…のか


良かった…


本当にその想いだけが大きかった


彼は死んでないし、国民も、誰一人として死んでいない


私は…王としての務めを成し遂げることが出来た


自分は生きているのか死んでいるのかよく分からない状態だけど、私一人の犠牲でみんなを守れたのならそれは本望


…ごめんね鬱


君は納得しないかもしれないけど、私はこの結果に満足してるよ


ヘ「鬱さん、Aなんだけど…蘇生魔法が出来ないから生きてはいるの…でも、なんでか起きない。何かしら原因があるはずだから…探して」


そうヘレンは言っていたのを聞いた


ut「原因…Aちゃんの中にあるこの変な光の魔力のことなんか…?そんな訳ないな…」


その後も数日間鬱は私のそばを片時も離れなかった


その間たくさんの話を私に聞かせてくれた


それまでに私の中で大きかった安堵感は消え去り、彼と話したい、触れたいという思いだけが募る


もう…戦争が集結してから2週間が経とうとしていた

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設定タグ:我々だ , 鬱先生 , 大先生   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:くいな | 作成日時:2019年11月28日 20時

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