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団子屋を営む人間は、大抵が優しい人なのかもしれない。

万事屋の店主(確か名は坂田銀時だった)と、眼鏡の志村新八君、それから赤い服の可愛い神楽ちゃん、そして自分の分の団子が乗った皿を落とさないよう持ちながら私はそんな頭の悪いことを考えた。

団子屋のある路地を抜けた先の大通りに坂田銀時が立っている。
団子屋に向き直り一礼してからゆっくりと大通りに向かい歩き始めた。

坂田銀時は何とか兄の捜索に踏み切ってくれた。
兄と喧嘩した私は兄が何をしに江戸まで来たのか知らなかったが、坂田銀時は兄の知り合いらしいので直ぐに会えるのだろう。
兄のいる所には、近藤さんや総悟だっている筈だ。
少し気まずいけれど懐かしい仲間に会いたい気持ちの方がずっと強かった。

会ったら最後、私は知らない男に嫁がなければいけないのだけれど。
二度と会えないかもしれなかった兄とその仲間に会えるのならばこの先の辛いであろう人生だってなんとか生きていける気がした。

討兎が私に持たせた機械をぎゅっと握りしめる。
これは兄に会うと言った時に討兎が私に渡したもので、映像の伝達と音声の伝達をするのだという。
ネックレスの形で飾りの部分の石のようなものがきっとカメラなのだろう。
私にはよくわからないけれど彼の星が技術に精通しているというのは本当の話だということなのだろう。

大通りに近づくと坂田銀時の声が聞こえてくる。
誰かと話していたのか。
様子を伺おうと道の隅により角から坂田銀時の視線の先を見る。


息が詰まった。


髪を切ろうと、洋服を着ようと、見間違える筈のない兄の姿がそこにはあった。
制服のような服を着て、刀を下げた兄、土方十四郎は慌てた様子で坂田銀時と話している。

耳が詰まってよく声が聞こえないけれど、それでも確かに兄の声で思わず緩む視界に抵抗出来ず暫くここに隠れていようかと思った矢先。

ネックレスのような機械が音をたて、微かに動き始めた。胎動のように、ドクンドクンと、動く。
定期的になる音はまるで爆弾の起動音のようだ。

よく見るとネックレスの飾り部分の機械は赤く光り始めている。

何かが起こる。

 
何が起こるか分からない以上、路地の奥に戻る訳にはいかない。
しかし人通りの多い大通りでこれが作動するのは良くない。

焦った私は大通りの方へ進み、
大きな声を出そうと考えた。

避難を、呼びかけなければ

絡まった思考は私の手を滑らせて




驚いたように坂田銀時がこちらを振り返った。

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さくらんぼ☆*.゚︎ - 初コメ失礼します!このお話 最高です!続き気になります!更新頑張ってくださいね!!応援してます! (2022年12月12日 0時) (レス) id: def3760315 (このIDを非表示/違反報告)
薄良(プロフ) - お餅さん» うわあああ申し訳ねぇ.......細かい設定を忘れ去っていました。普通に主人公の年齢と合いませんね.......細かい年齢表記削除しておきますありがとうございます (2020年2月20日 0時) (レス) id: 38546ea573 (このIDを非表示/違反報告)
お餅 - あの…総悟が5歳のときって土方さんいましたっけ?土方さんが来たのって総悟が13くらいのときじゃありませんでした?違ったらすみません (2020年2月19日 18時) (レス) id: 436e739fd5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:薄良 | 作成日時:2019年5月6日 0時

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