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金木犀の香りが鼻を掠める。
僕は思わず振り返って、金木犀の木を眺めた。
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学校への通学路。
いつも目にする景色が違って見えた。
きゅっ、と繋がれた手に力が込められて
そばに君がいる事を改めて感じる。
もうここには戻れない。
僕は前を向いて、歩き出した。
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こんな夜遅くに、未成年二人が夜道を歩く。
風はとても冷たくて
まるで僕達に歯向かっているようだ。
それでも、隣に君がいるから。
君だけいれば僕は十分だから。
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「寒いね」
繋がれていない方の掌に向かって
君は息を吐いた。
僕は、そうだね
と呟いて君の反対側に移る。
そして、先程とは逆の手 君が息を吐いた方の手を握って指先を絡めた。
「ふふ、あったかいね」
冷たかった手が僕の体温によって
徐々に温かくなっていく。
それと同じ様に、じんわりと
君に対する"好き"と"幸せ"が募った。
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普通に生活を送る事は
僕達にはもう出来なくなっていた。
堂々と僕達の関係を表に出せない。
人前で愛を語れない。
二人の空間でしか、君を愛せない事が
とても辛くて苦しいんだ。
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どのくらいか時間が経って
到着したバースターミナル。
予約をしておいた夜行バスに乗り込んだ。
街灯が街を照らす。
そのまばらな光を君は目を輝かせて見ていた。
君が幸せそうで良かった。
少なくとも僕達が今からしようとしている事は
イケナイ事で、僕達に関係するほとんどの人が悲しみ、傷つくだろう。
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僕達がしようとしている事は
きっと、
僕達を認めない世間からの逃げではない。
そう、信じていたいんだ。
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あい(プロフ) - ひまぽんさん» ひまぽんさん、コメントありがとうございます* 。続編などは少し検討させて頂きますね、これからも宜しくお願いします...！ (2019年3月25日 0時) (
レス) id: 0f506228be (このIDを非表示/違反報告)
ひまぽん(プロフ) - 龍我くんの話の続きが読んでみたいです。那須くんサイドの話も読んでみたくなりました。他の作品も楽しみにしています。 (2019年3月25日 0時) (レス) id: aeeb4a860b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あい | 作成日時：2018年9月9日 21時
