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『A、起きて。着いたよ』








彼に体を優しく揺さぶられて目を覚ました。








バスでの長旅はいつの間にか

私を夢の中に連れて行っていたようだ。






完全に開かない目を擦りながら窓の外に視線を移す。



外はまだ暗かった。




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私達がバスを降りる頃には
他の乗客はもういなくて。


私達が降りた後、走り出したバスを見送った。






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ヒュルリ、風が顔を掠めた。







『寒いからこれ着て良いよ』






私が鼻を啜ると、彼は自分の着ていた上着を
私の着せた。




彼も寒いはずなのにね。








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彼の優しさは世界で一番だと思う。

それでいて、儚くて切ない。






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『じゃあ行こっか』






自然と手を取られて、再び指先を絡められた。







大きな背中を一歩後ろから眺めて
彼について行く。






大きな手のひらと
彼の上着の温かさが相まって
やっぱり彼がいれば良いんだ、って安心できた。








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空の色は、明るさと暗さの中間になっていた。





時々目に入る建物が
あの時の記憶を徐々に蘇らせる。









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何も知らなくて、純粋に彼を好きだった、
幸せだった子供の時。







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あい(プロフ) - ひまぽんさん» ひまぽんさん、コメントありがとうございます* 。続編などは少し検討させて頂きますね、これからも宜しくお願いします...! (2019年3月25日 0時) (レス) id: 0f506228be (このIDを非表示/違反報告)
ひまぽん(プロフ) - 龍我くんの話の続きが読んでみたいです。那須くんサイドの話も読んでみたくなりました。他の作品も楽しみにしています。 (2019年3月25日 0時) (レス) id: aeeb4a860b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あい | 作成日時:2018年9月9日 21時

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