少女の日課 ページ5
「A、朝だよ」
「あと5分…」
「それもう3回も聞きました。10分も待ったんだから早くしてよ」
「だじょうぶｓｙｐ…」
「日本語しゃべって…」
使用人に起こされること三回目。流石に起きないといけないことを、頭ではわかっていてもなかなか体を動かす気にならない。そもそも私は朝は低血圧だ。
「おはよ…」
「おはよう。4時40分だよ、あと20分で支度しないと稽古に遅刻する」
「はいはい…」
私の朝は仲のいい使用人、真冬に起こされることから始まる。何故だか知らないけど、あいつは頬にバーコードのタトゥーを入れている。
起きたらまず道着に着替える。毎朝５時から６時３０分までの１時間半、私は合気道の先生に稽古をつけてもらっている。
それが終わったら朝食。そのあと学校へ登校。金持ちしか入れない名門校だ。真冬も一緒に登校し、一緒に帰ってくる。
そして帰ってきたらまず学校ででた課題を終わらせ、それが終わったら親に出される試験的なものをする。
そんな生活をかれこれ１１年。小学生のころから、病気の時も欠かさず行っている。苦痛か、と聞かれて否と答えれば嘘になるが、耐えられないほどではないし真冬も一緒なのでなんとか続いている。
「真冬、洗顔なくなった」
「新しいものを上の棚に置いてあるよ。いつも言ってるでしょ」
物ごころついたとき、という表現の物ごころがいつからつくのか知らないが、私と真冬は気付いたら一緒にいた。双子でこそないが、親より大切な存在だ。
「道場で先生が待ってるよA」
「今行くわよ…。ふー」
稽古の時も真冬と一緒だ。というか一日のほとんどが真冬と一緒に居る。最近はもうなくなったが、昔は一緒にお風呂も入ったものだ。
道場へ向かうときは一度外へ出る。
「そらるさん、おはようございます」
「おはようまふ」
途中で執事長のそらるとすれ違った。本名を彼方、というのだが、昔からあだ名はそらる。
しかし私はこいつの私の呼びかたに不満がある。
「おはようそらる」
「おはようお嬢。怪我しないようにね」
「お嬢って呼ぶのやめてっていつも言ってるじゃない」
「お嬢の事を呼び捨てできるのは、使用人の中じゃ真冬だけだよ」
お嬢様、お嬢、Aさま。
人それぞれ私の呼び方は違うけど、私は敬称なしで名前で呼ばれたい。特にそらるなんて、小さいころから一緒に居るのに壁があるみたいで嫌だ。
(敬語じゃないだけマシだけど…)
不満なものは不満。
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作者名：ちゃそ | 作成日時：2018年11月20日 16時
