必殺奥義 ページ6
「先生、おはようございます」
「おはようございますお嬢様。今日も時間通りですね」
「そう?今日は少し寝坊をしてしまったから、バタバタしちゃった」
「ふふ、珍しい…。では、今日のメニューを」
メニューは毎日変わり、全て先生が決めている。
「準備運動、取りと受けを交互にして、剣取りと合気剣の練習…。先生、昨日と同じよ?」
「ええ。昨日の稽古を見ていたところ、しばらく剣取りと合気剣を練習しておりませんでしたので鈍っていたようです」
「そう…」
確かに少し感覚が分からなくなっていたけど、バレるほどじゃないと思っていた
「お?これは?プライド高めのAさんは?ちょっと悔しい?悔しい?」
「真冬うるさいわ、よっ!」
「どぅうぇい!あぶな!」
「避けんじゃないわよ!」
余計なことを言う真冬に柔道の技を仕掛けようとしたけど、流石というべきか、バレていた。見事に避けられ、更にイラついて追い掛け回す。
「ほっほっ、あっはは!Aどうしたの?当たんないよ!」
「もう、ちょこまかと…!油断してんじゃ、ないわよ!」
「ったぁ!?」
奥義、飛び蹴りを食らわせて私の勝ち。
ちなみに先生はというと、「まあこれも準備運動ですね…」と呆れている。
そんなこんなで練習終了。一汗どころか二汗も三汗も搔いた後、シャワーを浴びて部屋に戻った。
* * *
「A〜、そろそろご飯食べに行かなきゃ、遅刻するよ?」
「はぁい。…真冬、髪乾かして」
「いや遅刻するって言ったばっかり…。仕方ないなぁ」
ぶつぶつ言いながらも毎日髪を乾かしてくれる。しかも真冬は乾かすのが上手で、ついうとうとしてしまう。お稽古で疲れた後ならなおさらだし、今日は余分に疲れたのでその分も多くなっている。
「Aちょっと、寝ないでよ?」
「…………ん〜?」
もうすぐ夢の中…というところで真冬に起こされる。いつの間にかドライアーの音は消えていた。
「もう寝ないでって…。ほら行くよ」
「ん…」
「今日はいつも以上に酷いな…」
そこまで自覚はないが、私はどうやら一度夢の中に入ったり入りかけたりすると行動力が著しく低下するらしい。真冬に手を引かれて部屋を出て行く毎日だ。
「お嬢様、従者長、おはようございます」
「おはようございます!ミセス」
「おあよう…」
従者長、というのは真冬の事。英語ではヴァレットと言い、常に主人に付いて回る従者。真冬はその中でも一番のお偉いさん。
続く (更新停止中) お気に入り登録で更新通知を受け取ろう
←少女の日課
114人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ちゃそ | 作成日時:2018年11月20日 16時