運命と嘘つき Ki (ページ5)

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北山side

俺はその日、半年くらい付き合っていた

彼女に振られた後だった。

振られたっていうのに思ったより悲しくなくて、

少し前から心のどっかで気づいていたんだろう。

彼女が俺を見ていないって。

昔から嫌な事があると行きたくなる公園がある。

今日も無意識にそこに向かっていた。

いつもなら誰もいない、ベンチに

今日はひとり小柄な女性が座っていた。

暗闇で顔ははっきりと見えなかったけど、

なぜか俺は見とれてしまった。

懐かしい感じがしたんだ。

そして気づいたら話しかけていた。

ベンチに座ってからも

無言の時間が続いたけどすごく心地よかった。

ちらっとその女性を見ると、

すごく切なそうな顔をしていて

思わず、

この公園いいっすよね、

なんて言ってしまった。

見知らぬ女性なのになぜこんなに

気になるのか自分でもわからなかった。

しまいには、

家まで送りますよ。なんて

家まで近いからと断られてしまったけど。

気づけばフラれたショックはなくなっていた。

しばらく俺はそこでビールを飲んでいた。

そろそろ帰ろうとしたとき、

すこし遠くの方で

『、、、たすけてっ』

俺は無意識に走り出していた。

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