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59話 ページ9








みんなハリーを慰めようと一生懸命だった。





ハグリッドは黄色いキャベツのような虫だらけの花をたくさん送ってよこしたし、ジニーは真っ赤になりながら"早くよくなってねカード"を持ってやってきた。



日曜の朝はグリフィンドールの選手たちがウッドを連れてやってきた。


ウッドはハリーのことを少しも責めていない、と言ったけど、死んだような虚ろな声だったので本当に一度溺死しかけたんじゃないかと思った。



ロンとハーマイオニーとAは夜以外は付きっきりでハリーのベッドのそばにいた。




そしてAは、たびたび夜にも現れた。




最初はなんでもない話をして、一通り話し終わるとベッドの端に頬杖をついて歌を歌うのだ。


ハリーは歌ってもらったことが無いので分からないが、多分子守唄のようなものだろう。




月明かりの中、白いネグリジェを着て澄んだ声で歌うので、ハリーは横で歌っている彼女が天使に見えて仕方なかった。



ちなみに、だんだんその子守唄が最近流行りのロックバンドの曲になったり、ホグワーツの校歌になったりする。



そのロックバンドの曲がうろ覚えなことが多いせいで、結局ハリーは笑ってしまうのだ。



隠れてコソコソ医務室まで来たはいいものの、割と大きめの声で歌い出すのでマダム・ポンフリーに見つかっては寮まで連れ戻される。



それでもまたAはどうやってか医務室に来て、ハリーの為に歌ってくれた。




それまで誰が何をしようと、何を言おうと、ハリーは塞ぎ込んだままだった。



それは、みんなハリーの悩みをせいぜい半分しか分かっていなかったからだ。



ハリーは死神犬(グリム)のことを話していなかった。ロンにも、ハーマイオニーにも、Aにも。


ロンとAはひどくショックを受けるだろうし、ハーマイオニーには笑い飛ばされると思ったからだ。でも事実、危うく死ぬような目に遭う時はいつも黒い犬を見た。



グリムは本当に僕に死ぬまで取り憑くのだろうか。



これからずっと、犬の姿に怯えながら生きていかなければならないのだろうか。




それに、ディメンターがいる。



ディメンターに魂を吸われる時に聞こえるあの叫び声が誰のものなのか、もうハリーには分かっていた。


母の死ぬ間際の叫び声だ。



ハリーは眠れないまま横になって、まどろんでは母の叫び声で目覚め、目覚めてはまたまどろんだ。





だから、夜Aがここに来てくれるのは、ハリーにとってたったひとつの救いだった。

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設定タグ:ハリーポッター , 原作沿い , ハリポタ   
作品ジャンル:恋愛
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とま(プロフ) - ばるるさん» ばるるさん!コメントありがとうございます!!長くなりそうですが、地道に読んでくださると嬉しいです❕更新頑張ります❕😖 (2022年4月18日 23時) (レス) id: 9bd2711725 (このIDを非表示/違反報告)
ばるる(プロフ) - この作品の1からここまで一気に読み進めてきました!とても読みやすくて面白いです(*^^*)体調にお気をつけてこれからも頑張ってください!o(^-^)o続き楽しみにしてます♡ (2022年4月18日 23時) (レス) @page31 id: f29cd1f82d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:とま x他1人 | 作成日時:2022年3月29日 23時

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