86話 ページ36
「ハリー、高望みしてはいけない。13歳の魔法使いにとっては、例えぼんやりな守護霊だとしても大変な成果だ。それにもう気を失ったりはしないだろう?」
ルーピンはいつもの笑顔でそう言ってくれたけど、ハリーは自分に腹が立っていた。
心のどこかでまた両親の声を聞きたいと思っているから、うまく守護霊が造り出せないのだ。
そのことがただ情けなかった。
「僕、守護霊が──ディメンターを追い払うか、それとも……連中を消してくれるかと──そう思っていました」
「本当の守護霊ならそうする。しかし、君は短い間に随分できるようになった。次のクィディッチの試合にディメンターが現れたとしても、しばらく遠ざけておいてその間に地上に下りることができるはずだ」
「あいつらが沢山いたら、もっと難しくなるって先生がおっしゃいました」
「君なら絶対大丈夫だ」
ルーピンが優しく微笑んだ。
ルーピンが優しくて良い先生だと実感するたびに、ハリーは先生が羨ましくなる。
やっぱり、大人の余裕とはこういうことを言うのだ。そして多分、Aはルーピン先生のこういうところを素敵だと思うのだろう。
僕がAに余裕を見せられたことが今までに一度でもあっただろうか。
彼女に僕がしていることと言えば、ただひたすら優しくすることくらいだ。あと、たまに一緒にゲームをしたり……そんなこと誰だってできる。
考えれば考えるほど虚しくなって、急いで違うことを考えた。
「ディメンターの頭巾の中って、何があるんですか?」
「うーん……本当のことを知っている者は、もう口がきけない状態になっている。つまり、ディメンターが頭巾を下ろす時は、最後の最悪の武器を使う時なんだ」
「どんな武器ですか?」
「"
ルーピン先生はちょっと皮肉な笑みを浮かべた。
「ディメンターは、徹底的に破滅させたい者に対してこれを実行する。多分あの下には口のようなものがあるのだろう。奴らは獲物の口を自分の上下の顎で挟み、そして──餌食の魂を吸い取る」
「えっ──殺す──?」
「いや、そうじゃない。もっと酷い。魂が無くても生きられる。脳や心臓が動いていればね。しかし、もはや自分が誰なのか分からない。記憶もない。全く……何にもない。回復の見込みもない」
植物状態ということだろうか。
想像して、ハリーはゴクリと唾を飲んだ。
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とま(プロフ) - ばるるさん» ばるるさん!コメントありがとうございます!!長くなりそうですが、地道に読んでくださると嬉しいです❕更新頑張ります❕😖 (2022年4月18日 23時) (レス) id: 9bd2711725 (このIDを非表示/違反報告)
ばるる(プロフ) - この作品の1からここまで一気に読み進めてきました!とても読みやすくて面白いです(*^^*)体調にお気をつけてこれからも頑張ってください!o(^-^)o続き楽しみにしてます♡ (2022年4月18日 23時) (レス) @page31 id: f29cd1f82d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:とま x他1人 | 作成日時:2022年3月29日 23時