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「あと2人の生死を確認しなきゃならん。その遺体は置いてけ」
「冗談言うな!振り返れば来た道が無くなってる、後で戻る余裕はねぇだろ…!」
「"後にしろ"じゃねぇ。"置いてけ"っつったんだ」
「ただでさえ助ける気のない人間を、死体になってまで救う気は俺にはない」
その言葉に反応して、虎杖が伏黒の胸ぐらを掴み上げた。
身長は虎杖より伏黒の方が大きいけど、虎杖の迫力は凄まじかった。
それでも伏黒も少しも怯まない。
「どういう意味だ」
「ここは少年院だぞ。呪術師には現場のあらゆる情報が事前に開示される。ソイツは無免許運転で下校中の女児を撥ねてる。2度目の無免許運転でだ」
「…!」
「オマエは大勢の人間を助け、正しい死に導くことに拘ってるな」
「だが自分が助けた人間が、将来人を殺したらどうする」
「じゃあなんで、!俺は助けたんだよ!!」
「…」
とてもじゃないが口出しできない虎杖と伏黒の言い合いを見ていると、横で野薔薇の舌打ち、からのため息をつく声。
いいぞ、言ってやれー!と心の中で援護する。
「いい加減にしろ!!あ"ーもう、アンタたち、バッカじゃないの?!少しは時と場合を考えたらどうな──」
どうなの、と言い終わる前に、
野薔薇は沈むはずのないコンクリートに沈んだ。
「釘…崎?」
『ッ?!野薔薇!!』
最後まで伸ばされた手を掴もうと腕を伸ばして、何とか手を掴んだけど引っ張りあげられるほどの筋力なんてない。
『(ヤバい、筋トレしとくんだった…!!)』
落ちてく野薔薇に引っ張られるように謎の暗闇に沈んでいく。
待って、引き上げられない、!…でも絶対に手は離さない…!!
『(ヤバい、ヤバいヤバい、!!)』
『やっ、!め、めぐ──』
あ──落ちる──。
「ッ!!!A!!!!」
必死に伸ばした手は、彼の手と残り僅かな距離で空を切った。
咄嗟に自分の口から出た名前。
暗闇に落っこちながら最後に見たのは、酷い表情で久しぶりに、私の名前を呼ぶ伏黒。
そんな泣きそうな顔しないで、
*
「じゃあなんで、!俺は助けたんだよ!!」
「…」
不平等な現実のみが、平等に与えられている。
虎杖、オマエのような善人が死ぬのを見たくなかった。
呪われて寝たきりの津美紀も、術式さえ持たなければただ幸せになれたAも、オマエと同じ善人だ。
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歌詞 - 特急が取り込んでいたのか (3月22日 17時) (レス) @page32 id: 2b3270be69 (このIDを非表示/違反報告)
Uo(プロフ) - るるさん» コメントありがとうございます❕かわいい性格に書けていたならとても嬉しいです😖スタンドバイミー、いつ見ても名作ですよね…!! (6月5日 1時) (レス) id: d9295642a6 (このIDを非表示/違反報告)
るる - まって、、夢主かわいい💕 てか、スタンドバイミー最高ですよね!リバーフェニックス私も好きー!クリスは性格もイケメンだし、、、。 (5月5日 0時) (レス) @page3 id: 7b5dad0b18 (このIDを非表示/違反報告)
とま(プロフ) - †NANA†さん» 詳しく教えて下さり本当にありがとうございます…!!誤字が多くて申し訳ないです😞 (2022年8月14日 20時) (レス) id: f3920fcf38 (このIDを非表示/違反報告)
†NANA†(プロフ) - ページ32と33で、「特級」が「特急」になっています。 (2022年8月13日 16時) (レス) @page35 id: 9dc612bbe9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:とま x他1人 | 作成日時:2022年5月17日 0時