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12話 ページ14










ある朝、ハリーが習慣のようにポストから郵便物を取り出すと、そこには驚くべきものがあった。












【プリペッド通り 4番地 階段下の物置内 ハリー・ポッター様】











何やら分厚い、重い、黄色みがかった羊皮紙の封筒に入っている。



誰が投函したのか、どうやってここまできたのか。おかしなことに、切手はどこにも貼られていない。





宛名はエメラルド色のインクで書かれていた。






そして封筒の最後に書かれた宛名──ハリー・ポッター様。





間違いない。ハリー宛の手紙だ。







裏返してみると、紋章入りの赤い蝋で封印がしてあった。





真ん中に大きく"H"と書かれ、その周りをライオン、鷲、アナグマ、蛇が取り囲んでいる。





初めてだ。人生初の自分宛ての手紙。




これまでに手紙なんて貰ったことがないハリーは突然の手紙にドキドキと胸が鳴るのを感じた。







手紙を見つめながらキッチンへと戻って、バーノンに郵便を渡して残る自分宛の手紙を開こうとする。




この時、手紙を階段下に戻って一人きりになってから開けばよかったのだ。




だけどすぐに開こうとしてしまった。人生初の手紙に心が浮ついていて、ダドリーやバーノンおじさんを気にする前に早く手紙を読みたかった。




しかしやっぱり、そう上手くはいかなかった。







ハリーが手紙を持っているのをめざとく見つけたダドリーが叫んだ。









「パパ!ハリーが手紙持ってる!!」










すぐに手紙を隠そうとしたが、遅かった。









「返してよ!!それ、僕のだ!」




「誰がお前に手紙なんか──」








ハリーの抵抗も虚しく、ダドリーがひったくった手紙を受け取りながら片眉を上げて笑うバーノンがそう言いかけて、止まった。











【ホグワーツ】











その言葉に、バーノンとペチュニアは恐ろしげに意味深なアイコンタクトをした後、ゆっくりとハリーを見た。





その目に浮かんだ明らかな恐怖、そして嫌悪。





まだ中身を見たわけでもないのに、封筒の差し出し人の名前を見ただけでこの反応だ。




"ホグワーツ"というのがいったい誰なのか知らないが、これだけは分かった。





只事じゃない。その手紙は、ただの手紙じゃない。





ハリーが今までこの家で生き抜いていく中で培った10年の勘が言った。









この手紙で、何か大変なことが起こるぞ、と。










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作者名:とま | 作成日時:2022年1月31日 23時

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